研究概要 |
申請者は, 国内外の層状チャートの詳細な地質調査に基づき, シリカや炭素に着目した日射量変動に伴う物質循環ダイナミクスの解明に取り組んでいる. 本年度は, 本邦美濃帯」く山地域の三畳系―ジュラ系層状チャート, 北米Newark超層群, イタリア, アルプス地域のジュラ系層状チャートの地質調査を行った。美濃帯犬山地域の三畳系―ジュラ系層状チャートの完全連続サイクル層序を, Earth and Planetary Science Letter誌に報告した(Ikeda and Tada, EPSL in press). さらに, 三畳紀/ジュラ紀境界の層状チャートのX線吸収微細構造(XAFS)分析を行い, 同時期の巨大火戒活動や海洋酸性化事変について検討した(Global Planetary Changeに投稿予定). また, ジュラ紀前期の海洋無酸素事変(Toarcain OAE)時の連続セクションを犬山地域で新たに発見し, ミランコビッチサイクル層序および有機炭素同位体比周序を構築した. その結果, 0AEと火成活動, 日射量変動との関連性を解明した(Palaeo-3に投稿中). Newark超層群では, 三畳紀/ジュラ紀境界前後200万年分の元素分析を行った. イタリア, アルプス地域の地質調査は, スイス, ローザンヌ大学のPeter Baumgartller教授らと共同で行った. その結果, 生物生崖や海水準変動に伴う酸化還元状態の変化からミランコビッチサイクルの周期性を初めて検出した(Paleo-3に投稿准備中). こうした積極的な研究活劇」の結果, 2013年[本堆積学会では, 論文賞, 及び最優秀口頭講演賞を受賞し, 2014年アジアーオセアニア地球科学学会AOGSにて招待講演を依頼されるなど, 国内外にその成果が高く評価されつつある.
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