炭素系酸素還元機能材料、特に窒素ドープされた炭素系材料における遷移金属の影響を調べるために、モデル系試料を適用して試料の活性化が望める条件を突き止めると共に、その条件下での遷移金属による活性化機構に関する知見を得る。窒素機能性化合物の電気特性、物性評価を通じて、新たな機能材料を探索することを目的として、研究を実行してきた。具体的には、合成プロセスとして、光学リソグラフィーおよび金属スパッタをもちいて、通電特性を持つ窒化物上に電極を作製し、端子型電気化学測定でその電気特性を評価した。表面の物理的な特性については、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いてナノメートルレベルで測定してきた。その結果、一定の成果を出すことに成功した。今後は、これらの知見を用いて、実試料への活性化機構適用を試みる。モデル系試料において活性化が確認されたプロセスを実試料に適用し、得られた触媒を、電気化学測定により、酸素還元活性を評価する。活性に顕著な変化が見られる触媒については、モデル系試料と同様に電子顕微鏡、放射光解析などにより遷移金属の影響を注意深く観察し、試料合成へフィードバックする。また現状得られている機能性材料のさらなる高活性化を目指す。有望な触媒については、電気化学測定だけでなく、装置を作製して実際の作動状態でサイクル試験を実施し、実用化に耐えうる耐久性を有しているか確認する。サイクル後の放射光解析も同様に行い、試験などから得られた結果と総括して論文にまとめる。
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