研究課題/領域番号 |
12J08166
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
自然人類学
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
川嶋 彩夏 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 分子進化 / 霊長類 / 偽遺伝子化 / 解毒 / 生理活性物質 / 適応 / 生息環境 / 食性 |
研究概要 |
本研究では環境の変化に対する生物の生理機能の進化を理解するために、解毒機構の大部分を司るCytochrome P450 (CYP)遺伝子に着目した。CYP遺伝子はほぼ全ての真核生物が保有しており、その数や種類は生物種によって様々である。この違いは個々の生物において、それぞれの生息環境や食性によってCYP遺伝子が適応的に進化してきた結果生じたものと考えられる。一方、これまでのCYP研究の多くは薬学的研究であり、進化学的な研究は殆ど行われていない。そこで本研究ではCYP遺伝子が機能面から二つのタイプに分けられることに着目し、ヒトの保有する全てのCYP遺伝子について他の脊椎動物との種間比較を行うことで、その進化的特性を解明することを目的とした。 昨年度までの研究から、脊椎動物全体でCYP遺伝子は生理活性物質合成型と解毒型の二種類に分類可能であり、前者は脊椎動物全体を通してその数や種類は類似しているのに対し、後者では各々の脊椎動物でその数や保有する種類が異なっていた。さらに、これらの遺伝子の機能的制約の強さは前者では非常に小さな値(つまり制約が強い)であったのに対し、後者では緩んでいることがわかった。 本年度は、脊椎動物に加えて無脊椎動物のCYP遺伝子(543遺伝子)を解析に用い、脊椎動物と無脊椎動物の解毒型遺伝子の起源が同一かどうかを解明した。その結果、両者の解毒型CYP遺伝子はそれぞれ起源が異なることがわかった。つまり、無脊椎動物と脊椎動物では生体外から取り入れた毒物に対して、異なるCYP遺伝子が進化して解毒するようになったと考えられる。 以上から、生理活性物質生合成型では体内の環境を恒常的に保持するためにCYP遺伝子を保守的に進化させてきたのに対し、解毒型ではそれぞれの生物種の生息環境や食性に適応的にCYP遺伝子を進化させ、体外からの毒によるリスクを減少させたと推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は昨年度中の論文の投稿を目指していたが、当初予定していたよりも多くの結果を得ることができ、議論が深まった。そのため、投稿時期は遅れてしまったが、当初の目的よりも広く結果を得られた点では計画以上の進展が見られたと考えられる。総じて、現在までの研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、脊椎動物におけるCYP遺伝子の進化のパターンは、それぞれの遺伝子がコードする酵素がどのような基質を代謝するかによって異なることがわかった。また、これらはそれぞれの生物の生息環境や食性とも大きく関与していることが示唆された。今後はCYP遺伝子のみならず、他の解毒に関与する遺伝子の進化パターンについても明らかにすることで、CYP遺伝子との比較を行いたい。
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