研究概要 |
前年度の結果から、単結晶シリコン太陽電池の基板喪面に対して、SiO_2, 被膜ナノ粒子を配置する方法は、プラズモン効果を光電変換効率に還元する上では有効ではないと示唆された。この一因として、プラズモン効果の強電場領域によるキャリア励起の促進が起こる場所が、効果的ではないということが挙げられた。この問題を改善する方法として、色素増感太陽電池内部にSiO_2被膜金ナノ粒子を導入し、プラズモン効果の光電変換効率への寄与を観測した。 プラズモン効果により発生する強電場領域は、ナノ粒子表面からの距離に依存する。プラズモン効果の強電場による影響を観測するために、膜厚10nm以下の薄膜のSiO_2被膜と、膜厚40nm以上の厚膜のSiO_2被膜を行った金ナノ粒子を導入した。その結果、ナノ粒子を導入することで色素増感太陽電池の光電変換効率は共に上昇したが、外部最子効率の上昇の仕方に違いが見られた。薄膜のナノ粒子では波長540nmのプラズモン吸収領域と一致する波長で、外部量子効率が大きく向上することが確認された。厚膜のナノ粒子では、ナノ粒子の散乱効果により広い波長域で外部量子効率が上昇した。薄膜のSiO_2被膜金ナノ粒子を導入した色素増感太陽電池では、導入していない色素増感太陽電池と比較して、光電変換効率も0.9%上昇し、この結果はプラズモンの局在場が外部量子効率に寄与したことを示唆している。以上の結果から、当初予定した通り色素増感太陽電池に対してプラズモン効果を導入し、効率上昇を実現できた。 薄膜Si太陽電池に対しても、基板上に対して金ナノ粒子を配置し、プラズモン効果の観測を行っている。
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