研究課題/領域番号 |
12J08802
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
呂 莉 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 薄膜トランジスタ / ウェットプロセス / InGaZnO / high-k / SrTa_2O_6 / 低温プロセス / 低駆動電圧 / 高移動度 |
研究概要 |
本研究は、オールウェットプロセスで高性能な酸化物薄膜トランジスタ(TFT)の実現を目指している。膜の堆積方法を従来の高コストな真空プロセスから単純かつ低コストな化学溶液(CSD)法にし、同時に高性能化も狙った。今年度は薄膜堆積プロセスの立ち上げと最適化、溶液法の低温化、TFTの作製と評価であったが、さらにhigh-k材料のゲート絶縁膜への応用にも取り組んだ。 最初に、化学溶液法によるInGaZnO(IGZO)膜の堆積プロセスの立上げと最適化に取り組んだ。プロセス温度と組成効果の結果より、焼成温度700~900度、組成In:Zn=4=1が最適であった。この焼成温度は高過ぎるため、次に溶液法の低温化を狙った。UV/O_3処理を初めて導入し、290度という低温プロセスにおいても、通常プロセスの700度で焼成したTFTと同程度の性能を得ることに成功した。膜中の炭素が劣化の原因であることを突き止め、有機系溶液に替わり水溶液系溶液を導入した。これにより、300度という低温で、これまでに報告された中で最も大きい移動度19.5cm^2/(V・s)を達成した。また、残留炭素が大幅に減少していることも確認した。最後に、新規high-k材料であるSrTa_2O_6(STA)の低温プロセス化とゲート絶縁膜への応用に取り組んだ。STAは700度で高誘電率、低リーク電流になることを示し、UV/O_3処理によりプロセス温度を500度まで低下させ、かつ低リーク電流化することに成功した。スパッタIGZO膜をチャネル層とした場合、TFTのS値はほぼ理論限界に達し、非常に高い移動度237.4cm^2/(V・s)が得られた。一方、400度の溶液法InZnO(IZO)膜の場合、低ゲート電圧5Vで高いオンオフ電流比10^6を得た。サブスレッショルド(S)値は0.08V/decadeである。 本研究により、CSD法の低温化と高性能化が同時に実現できることを示した。
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