研究課題
特別研究員奨励費
現在の地表における熱流量は約46 TWであると見積もられている。しかし、地球深部における熱の内訳を観測から明らかにすることは非常に難しい。特に核からマントルに放出される熱流量は地球のダイナミクス、地球の熱進化を議論する上で非常に重要である。マントル底部は熱伝導による熱輸送が卓越する熱境界層であるため、外核からマントルへの熱流量は温度勾配と構成鉱物の熱伝導率の積で表すことが出来る。先行研究による最下部マントルの熱伝導率の見積もりは3-30 W/m/Kと大きな幅があり、地球科学的な議論に耐えうるものではなかった。そこで本研究ではダイヤモンドアンビルによる高圧発生とサーモリフレクタンス法による熱拡散率測定を組み合わせることで高圧下における下部マントル構成鉱物の熱伝導率決定を行った。サーモリフレクタンス法はサンプル表面にスパッタした金属の反射率が表面温度の変化に比例して変化する現象を応用した測定法である。本年度は外部抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温下におけるマントル鉱物の熱拡散率に向け、より高温下まで測定を拡張し、温度依存性を解明することを試みた。昨年度、高圧印加資料の周辺に設置したヒーターは大気圧下に置かれていた。本年度、試料室周辺を真空にする真空チャンバの導入を行うことで、予察的ではあるが、1300 ℃の高温発生に成功した。また、最下部マントルの70 vol%を占める主要鉱物であるMgペロフスカイトは下部マントル温度圧力条件において、鉄、アルミニウムが少量固溶することが知られている。そこで、マルチアンビル高圧発生装置で鉄とアルミニウムを含んだMgペロフスカイトを合成し、熱拡散率測定を開始した。これまで熱拡散時間測定時の反射材として用いていたプラチナは試料中の鉄と反応してしまうため、反射材として金を用い、それに伴い温度測定用レーザーの波長を532 nmに変更した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geophysical Research Letters
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