研究課題
特別研究員奨励費
平成25年度は平成24年度に引き続き、Twitterのようなソーシャルメディアに反映されているクラウド(群衆)の経験を中心とした社会認知的な空間分析について研究を行った。特に、人々が認知している空間と物理的な空間との歪みを測定するための技術を開発し、人々の認知に基づく近接地域検索システムを構築した。このシステムでは、現地の人々の移動経験を通して、物理的には遠い地域でも人々が認知的に近いと感じている地域を検索することができる。具体的には、Twitterに投稿されている大量のライフログを用いて観察されるクラウドの移動を移動時間と移動量の観点で集約するためにCrowd Footprint Network (CF-Net)を構築した。CF-Netはノードを地城、エッジを地域間の関係とするネットワークである。ノードには地域内でのクラウドの移動に関する情報が、エッジには地域間のクラウドの移動に関する情報が付与されており、新たなクラウドの経験が追加されるたびにそれらの情報が更新される。そして、CF-Netのノードとエッジの情報に基づき、ある地域から到達可能な近接地域を検索する。ここでは、ソーシャルメディアのコンテンツから抽出される大量のクラウドの移動経験を集約するためのデータモデルを提案し、クラウドの移動経験に基づく認知的な地域間の関係分析に取り組んだ点に意義がある。この研究成果については、査読付き国際ジャーナル2件、査読付き国内論文誌2件、査読付き国際会議1件、国内研究会1件にて発表を行なった。また、査読付き国際会議ではBest Paper Runner-upsに選ばれた。さらに、クラウドの経験を集約してから分析するだけでなく、個々のユーザのパーソナリティを抽出した上でクラウドの経験を集約することにより、ユーザのパーソナリティに基づく地域特徴を抽出するための研究にも取り組んでいる。この研究成果については、国内研究会1件において発表し、優秀インタラクティブ賞を受賞した。これらの研究を通して開発したシステムは、従来の調査で得られる実空間の地域特徴や地域間の関係性をリアルタイム性や定量性によって補完できるという点で重要性が高く、様々な地理的な意思決定の場面に応用できると期待される。
(抄録なし)
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http://info-media.kir.jp/sumiya/n_japanese/research.html