研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、ショウジョウバエ胚消化管の前方部の左右非対称性形成において機能するnarigoma突然変異体の責任遺伝子の同定とその機能解析を目的としている。欠失突然変異系統による相補性試験とmail recombination法によって、narigoma突然変異体の責任遺伝子がdally-like (dlp)であることが明らかとなった。dlpは、ヘパラン硫酸プロテオグリカンのグリピカンである。グリピカンは、様々なシグナル伝達経路において、リガンドのモルフォゲンに必要であることが報告されている。本年度の研究によって、dlp突然変異体ではWnt4シグナリングが正常に活性化していないことが示唆された。dlp突然変異体において、Wnt4タンパク質の分布を調べたところ細胞外へのWnt4の分泌に異常があることが示唆された。dlp突然変異体においてWntシグナルを活性化させるとdlp突然変異体の表現型は救済された。これらのことから、dlpは、Wnt4タンパク質の分布を制御することによって、胚消化管の前方部の左右非対称性形成に寄与することが示唆された。ショウジョウバエ胚消化管の前方部の左右非対称性形成には、内臓筋が重要であることが示唆されている。このことから、内臓筋細胞の動態を可視化することが、胚消化管の前方部における左右非対称性形成の機構を理解する上で重要であると考えられる。内臓筋細胞の動態を可視化するために、UAS-GAL4システムを用いたライブイメージングを行った。ライブイメージングによる内臓筋細胞の動態を調べた結果、当初に考えていた時期よりも早くに左右非対称性が形成されていることを示唆するデータが得られた。
(抄録なし)
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Mechanisms of Development
巻: 130 号: 2-3 ページ: 169-180
10.1016/j.mod.2012.09.007