研究課題/領域番号 |
12J09200
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地盤工学
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
松田 達也 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 津波 / 遠心模型実験 / 粒子法 / 支持力破壊 / 浸透破壊 / 液状化 / 破壊制御設計 / 性能設計 / 洗掘 / 掃流力 / 衝撃力 |
研究概要 |
(1)粒子法による津波-構造物-支持地盤連成解析手法の開発および拡張 : 粒子法のひとつであるSPH法を用いて、津波・海岸構造物・海底地盤の力学的相互作用に着目した、大変形問題に適用可能な解析手法の開発および拡張を行った。津波浸透による支持地盤の強度低下に加え、越流水塊により支持地盤の状態変化を考慮して安定性を検討した結果、越流および浸透により地盤内に過剰間隙水圧が発生し、支持地盤表層付近で液状化に似た状態となることがわかった。この現象により、支持地盤の強度低下に伴って支持力の不安定化が3割増加することを明らかとした。また、地盤の大変形と破壊後の剥離・接触問題へと適応可能な解析手法の開発を試み、防波堤構造が津波外力を受けて、防波堤が大きく滑動する様子や防波堤がマウンドにめり込む様子が再現可能となった。 (2)海岸構造物における耐震・耐津波化に向けた抜本的対策工法の考察 : 本研究により明らかとなった混成堤の被害メカニズムより、抜本的な耐震・耐津波化対策として既存の液状化対策を施すことが有用であると考えた。そこで、液状化対策工法と期待できる効果に分類した。特に、構造条件は新設および既設に分け、地盤改良については改良効果ごとに分類した。また、ケーソンの滑動および転倒に対して対策効果が想定される抑え盛土およびアンカー、洗掘防止策として被覆工にっいても対策工法として示した。各工法にっいて破壊制御設計の概念を踏まえた上で、より有用な対策手法について検討した。 (3)性能設計に向けた現行の設計を援用した設計チャート : 地震動レベル1や発生頻度の高い津波に対しては、これまでの設計手法により構造物の安定性を検討することが十分可能である。地震+津波については従来と同様に動的判定を行い、地震動・液状化による構造変形を考慮した形状に津波外力を作用させて安定性を検証するという従来の設計法を援用する方法と地震動・液状化によって損傷した地盤に津波の波力・越流・浸透の作用を連続的に検討する方法の二通りの検討チャートを設けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
津波力作用時に海岸構造物の支持地盤に過剰間隙水圧が発生し, 支持力破壊に至る破壊メカニズムを明らかとした。また, 津波起源となる地震動が作用する場合, 支持地盤が液状化し, 津波来襲以前に, 構造物が耐波機能を喪失することを示した。性能設計を基に, 既往の対策技術や設計法を援用した新たな設計フローを示した。
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今後の研究の推進方策 |
防波堤を対象とした地盤応力の変化に着目した地盤液状化、支持力破壊、洗掘・浸透破壊による海岸構造物の地震津波被災メカニズム現象を踏まえて、今後はさらに以下の点を踏まえて検討を進める必要がある。 (1)破壊制御設計を基とした耐震・耐津波化技術の照査 海岸構造物について、破壊制御設計に基づき、地盤の状態変化(間隙水圧, 密度)現象による地盤不安定化を考慮した耐震・耐津波化技術を施した際の構造物の破壊モードを十分認知する。 (2)現行の設計を援用した海岸構造物の性能設計 海岸構造物の性能設計について、現行の設計法を援用し、海岸ユニットを対象とした多重防御(防波堤+防潮堤)を踏まえた上で、各構造物の性能規定する照査法および照査手法の確立が必要である。
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