研究課題/領域番号 |
12J09263
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池田 裕輔 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | オイゲン・フィンク / エトムント・フッサール / 現象学 / 超越論的哲学 / 形而上学 / 世界 / 主観性 / 仮象 / 意識 / 想像 |
研究概要 |
(研究の目的と先行研究の状況) 本研究の目的はオイゲン・フィンク(1905-1975)の思想を問題史的および比較思想的観点から解明することである。 フィンクの思想は、従来、フッサール(1859-1938)とハイデガー(1889-1976)の影に隠れて十分には解明されてこなかった。しかし、近年、これまで未刊であった遺稿等の一次資料が徐々に整うに従い「主観性」および「主観性の存在」、「反省」(フッサール)、「存在」(ハイデガー)、更には「世界」、「仮象」や「言語」といった現象学的哲学全般に付きまとう難問を、フィンクは他の現象学者以上に自覚的かつ主題的に考察し、これらの問題に対して彼独自の解決案を提出していることが徐々に明らかになりつつある。とはいえ、基礎資料につきまとう問題から先行研究は未だ資料整理の段階を脱してはいない。このことから、1. 上記のフィンク思想の主要問題群をその前史・由来と併せて体系的に解明(問題史的観点)し、2. フィンク思想の現象学運動における地位、歴史的役割と現代的意義を反省、確定(比較思想的観点)することが申請者の具体的な研究目的である。 (平成25年度の研究実績) 前年度、報告者は計画通り、フィンクにおける「主観性の存在」、「反省」、「仮象」をめぐる問題系の内的構造の主題化、問題そのものの由来と独自性を摘出(問題史的観点)、同時に、主にフッサールの思想と対比することで、フィンク思想自身がもつ歴史的役割と現代的意義をより広いアスペクトから明確化する作業をおこなった(比較思想的観点)。これらの研究成果は、学会発表等の形式で提示した。フィンク思想の独自性は、とりわけその「世界」概念に認められる。報告者は、このことをより具体的に、フィンクにおける「主観性の存在」の問いと「世界」の関係、その際、いわゆる近代的な「意識主観」が前提とされていないということを体系的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度中に、当初の研究課題(フィンクにおける「主観性の存在」、「仮象」および「世界」という問題系の内的構造を摘出、その歴史的役割および現代的意義の提示)を達成するのみならず、それらの研究成果に基づいて、2014年3月、立命館大学大学院に学位申請論文を提出した(2014年9月取得見込)。よって、本研究は、当初の計画以上に進展しているとみなすことができる。
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今後の研究の推進方策 |
報告者は、当初の予定通り、フィンク、そして現象学運動における中心的主題である「世界」概念の解明を継続する共に、今後は並行してカント以降の近代哲学におけるその歴史的位置づけ作業をおこなうものとする。併せて、現象学的な世界概念を、現代の心の哲学などにおける議論の文脈から再検討し、その現代的意義の解明作業に着手する。これらの計画は、報告者の研究の進展に伴って生じてきた課題であるので、根本的にみて研究方針に変更点はないといえる。
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