研究課題
特別研究員奨励費
申請者は、単細胞緑藻Carteria cerasiformts NIES-425における細胞内共生リケッチア、通称"MIDORIKO"を用いて、バクテリア分裂装置遺伝子の細胞内共生に伴うホスト核への水平伝播過程を解明し、ミトコンドリアの進化初期段階を推測することを目的としている。平成25年度は以下(l)(2)を実施した。(l)MIDORIKOゲノムの解読による分裂装置遺伝子の同定ホスト核に転移した分裂装置遺伝子の探索に用いるため、MIDORIKOゲノムDNA配列の解読を試みた。高速シーケンサによるsingle-endシーケンスのde novoアセンブルとアノテーションの結果、コンティグから原核生物性の1255 CDS、3 rRNA、35 tRNAを同定し、バクテリアの分裂と細胞壁合成に関わるDCWクラスター群遺伝子を予測CDS中から同定した。またアセンプルの精度を上げるため、paired-endシーケンスデータの追加と条件検討を行っており、コンティグ長を延ばすことに成功している。(2)ホストゲノムへ水平伝播したMIDORIKO分裂・細胞壁合成関連遺伝子配列の発見ゲノム情報が既知である群体性緑藻Volvox carteriにおいて細胞内バクテリアの分子同定を行い、MIDORIKOにごく近縁なリケッチア科バクテリアを発見した。DAPI染色とゲノムPCRによる調査から、MIDORIKOを保有する株は9株中1株であることが判明した(Kawafune et al, 2014 Phycologia)。更にゲノムデータベース検索及びゲノムPCRの結果、リケッチアを保有しない8株のゲノムから、MIDORIKO DCWクラスター群遺伝子ORFの全長または一部が発見された。MIDORIKOからV. carteriゲノムへと分裂装置遺伝子DNA配列が転移した事が示され、V. cateriでは過去、MIDORIKOの共生と共生体遺伝子水平伝播が生じたことが示唆された。
(抄録なし)
すべて 2014 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)
Phycologia
巻: 53 号: 1 ページ: 95-99
10.2216/13-193.1
Molecular Biology and Evolution
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10.1093/molbev/mst018
Protoplasma
巻: (印刷中) 号: 4 ページ: 949-953
10.1007/s00709-012-0469-4