研究課題/領域番号 |
12J09363
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
松本 涼子 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 日本学術振興会特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2012年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | オオサンショウウオ / 摂食様式 / 頭骨進化 / 三次元力学モデル / 基盤的四肢動物 |
研究概要 |
脊椎動物の進化史の中で、水から陸へ(両生類から爬虫類へ)といった生活圏の移行は重要な転換期である。ここで起きた重要な変化の1つが捕食様式である。水中では水流を用いた吸引が可能だが、陸上では顎を用いた咬合になる。吸引と咬合では頭骨にかかる力や作用する筋に大きな違いがあると予想され、それぞれに適した頭骨デザインがあると考えられる。これを解明する事で、捕食様式の変遷を示す鍵となる形態進化を系統に沿って追う事が可能になる。そこで、本研究では脊椎動物が水から陸へと適応進化する過程でどのような力学的制約のもと頭骨のモデルチェンジが起き、脊椎動物の頭骨形態が多様化したのかを明らかにする事を目的とする。 平成24年度は、国立科学博物館・真鍋真研究主幹の下で、本研究のモデルケースとして用いるオオサンショウウオを含む多様な両生類の頭部と頸部の3次元骨格データを集積した。本研究に用いられた標本は、受け入れ研究機関の国立科学博物館だけでなく、日本国内(3箇所)の研究機関が所有する両生類の液浸・冷凍標本を用いた。その結果、現生両生類の主要な分類群を網羅し、本研究に必要な90標本の三次元頭骨データが得られた。これらの標本は、受け入れ研究機関が所有するマイクロCTスキャンを用いて撮像し、その後、3次元画像構築ソフト(Avizo使用)を用いて立体構築を行った。今後、補食様式のシミュレーション力学モデル解析を行う予定である。また、平成24年2月、3月に北九州市立いのちのたび博物館を訪れ、生きているオオサンショウウオの他4種の両生類が捕食している様子を、ハイスピードカメラ(HASL1)を用いて撮影した。30回の実験により、様々な角度からオオサンショウウオ等の捕食画像が取得出来た。今後、得られた画像データは、動画解析ソフトを用いて数値化することでシミュレーションモデルの枠組みを形成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、主に基礎となるCTスキャンとそのデータの立体構築、解剖データの蓄積を目標としていたが、予定通り必要な標本とデータをほぼ全て集積する事ができた。また、他の研究機関(例:北九州市立いのちのたび博物館)などと協力体制を確立することができた。予定以上に標本が集まったため、来年度も解剖を続ける必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトは、今後、英国バール大学と連携し、シミュレーション力学モデルを作成する。既にバール大学のマイケルファーガン教授の内諾は得ており、25年度には申請者は1年間バール大学に在籍して研究を遂行する予定であった。しかし、申請者の就職(神奈川県立生命の星・地球博物館)に伴い、英国に長期滞在する事が困難となった。本研究を予定通り完成させるため、英国へ複数回の短期訪問を繰り返す事で研究を遂行する方法へと変える必要が発生した。短期訪問での作業効率を上げるため、バール大学で借用する予定であった、力学解析ソフト(VOXELCONなど)を申請者自身でも購入する必要性が生じた。
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