研究課題/領域番号 |
12J09848
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
環境技術・環境材料
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
桑原 拓也 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2014-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2013年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 非熱プラズマ / 粒子状物質 / ディーゼル排ガス / フィルタ / 環境保全 / ナノ粒子 / 放電 / 大気汚染物質 |
研究概要 |
非熱プラズマおよび磁性流体を用いたディーゼル微粒子フィルター(DPF)によるディーゼルナノ微粒子の浄化システムを提案し、その新機能を解明する。最終目標として100nmのディーゼル微粒子浄化を目指す。システムの原理の確立、システムの構築、実験、性能評価という一連の研究を行い、ディーゼル微粒子(PM)浄化のためのPMの磁性流体への吸着機能とプラズマ形成オゾンによる磁性流体(液体)中のPM捕集と酸化機能, 磁性流体の触媒機能の解明が研究目的である。 今年度の成果は以下の通りである。 ナノ微粒子の高効率捕集の機能解明 : パルスコロナ放電プラズマ方式によるナノ微粒子の高効率捕集の機能を解明する上で重要な放電特性を調べた。放電損失の少ないリアクタ電極を開発し、放電電力と捕集率の関係を明らかにした。基本特性を調べるために、乾式処理のプラズマ放電なしとありの場合と湿式処理のプラズマ放電なしとありの場合の実験条件を設定した。これら実験条件のもと、PSし標準粒子(粒子径0.029, 0.048, 0.100, 0.202, 0.309㎛)に対する捕集効率を調べた。その他の条件は総ガス流量4 L/min、エアロゾル発生器への圧力200kPaで、乾式(水膜なし)処理の場合は、放電電圧30kVおよび35kV、温式(水膜あり)処理の場合は、放電電圧28kV、水流量0.20L/minとした。集塵効率はリアクタ上流の粒子濃度に対する捕集された粒子濃度の割合をした。 乾式処理のプラズマ放電ありの場合、放電電圧30kV、0.6Wで集塵効率は全粒径に対して集塵効率は67.4%以上であり、最大90.0%であった。また、放電電圧35kV、電力10.7Wで集塵効率は全粒径に対して84.7%以上であり、最大98.9%であった。 湿式処理のプラズマ放電ありの場合、全粒径に対して98.5%以上の高い集塵効率を達成した。わずかではあるが乾式の場合と同様に0.048㎛、0.100㎛の方が0.309μmより集塵効率が高く、0.309㎛は荷電されにくい粒子径であることが分かった。一般的に電気集塵では0.1μmサイズの粒子では静電気力が小さくなりため捕集は困難とされているが、本装置の湿式処理で径0.1μmの粒子に対して99.9%の捕集に成功し、捕集性能の高さを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標の100nmサイズのナノ粒子捕集除去に対して、径29㎚のナノ粒子を99.9%以上捕集することができ、ナノ微粒子の高効率捕集の機能解明したことは期待を遥かに上回る成果であった。さらに、一般的に荷電の問題で電気集塵が困難とされる0.1㎛サイズの粒子で高い捕集性能を示したこれらの成果は本研究の中核をなすものであり、計画以上の進展と評価できる。しかし、磁性流体の触媒機能解明のための試験方法・条件の検討が当初予定に比べて進んでいないため、上記の評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
これまではパルスコロナ放電プラズマ方式によるナノ微粒子の高効率捕集の機能解明の目的のもと模擬標準ナノ微粒子を用いて実験を行い評価してきたが、今後は実用化への展開を目的として実際の排ガスを模擬して粒子径分布のある微粒子を含むガスを対象に捕集効率を調査する。微分型静電分級器(DMA)による微粒子分析を導入して実験を行う。最適な放電条件を求め、省エネルギー・高効率ナノ微粒子捕集を達成する。実験の結果をもとに最終的な磁性流体DPFの構造および再生方法を決定し、装置を作成する。磁性流体を用いたナノ微粒子捕集の実験および解析へと展開する。
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