配分額 *注記 |
3,630千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 330千円)
2014年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2012年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究実績の概要 |
超曲面孤立特異点(X, x_0)の半普遍変形から構成したディスクリミナント因子の補集合の基本群を理解することを目標としている. (X, x_0)がADE型特異点の場合は, ADE型コクセター図形に対応した定義関係式による有限表示がなされ, その有限表示データまで込めてアルティン群と呼ばれている. そしてその有限表示に対応させたモノイドはアルティンモノイドと呼ばれておりその相殺性が示される. アルティンモノイドがもとの群に単射に入ることを利用して, アルティン群の種々の決定問題が解かれる. (X, x_0)が単純楕円型特異点の場合にこれらの結果を拡張したい. そうすることによって同時に, アルティン群の理論の一般化を行う. この場合の基本群は楕円アルティン群と呼ばれており, アルティン群の場合と異なり, 決定問題を解くために有用な有限表示は知られていない. アルティン群の一般化は不十分ながらなされており, ガーサイド群と呼ばれている. 幾つかの数学上の理由から, 楕円アルティン群はガーサイド群には表示されないだろうと考えられている. 今年度は, まず楕円アルティン群の表示のひとつである楕円ディンキン図形に対応した表示については相殺性が満たされないことを明示的に示した. すなわち相殺性を崩すようなリレーションを特定することができた. 次に, ガーサイド群に表示されないにもかかわらず群の決定問題が解かれる例を構成することを試みた. この際, 共役問題の可解性の証明が非自明であり新たな手法を要するが, 筆者は手法を開発して無数の例について可解性を示すことに成功した. これらの計算例から, 基本元全体の集合Fが単項生成でありモノイドがテイムという条件を満たせば共役問題は可解であろうという予想を提出した. 筆者は, 楕円アルティン群に対応させたモノイドはこの枠組みに収まるであろうと期待している. またアルティンモノイドの増大度関数についても調べた. 増大度関数は有理関数の恰好に書けることが知られているが, その分母多項式はすべてのタイプについて1を単根に持つと予想されていた. 筆者がその予想を示すことに成功した.
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