研究課題/領域番号 |
12J10076
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸村 理 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 私立高等教育機関 / 大学経営 / 教員給与 / 職員給与 / 経営と教学 / 教育と財務の相剋 / 大学教員の給与 / 教育課程 / 大学教員の階層 |
研究概要 |
本年度は研究の最終年度であるため、前年度までに収集・整理した早稲田・慶應両校の経営及び財務に関するデータの分析を行った。分析によって得られた知見は以下のとおりである。 (1)両校の管理運営組織について、経営部門と教学部門の組織及び機能の変遷を考察した。経営部門に関する組織は慶應では理事会と評議員会が、早稲田では維持員会と評議員会が該当する。慶應では現職教員の評議員就任を禁じ、経営と教学の分離が徹底されていたが、早稲田では創立当初からの教員が管理運営組織に参画する権利が認められており、経営と教学の分離は徹底されていなかった。一方、教学部門に関する組織については両校の教授会について検討し、教員人事をめぐる権限の違いを明らかにした。 (2)財務構造については両校の収入と支出、資産と負債の推移を検証した。両校ともに財務規模を一貫して拡大させていったが、その規模には大きな差異があり、また一貫して黒字経営であった慶應に対し、早稲田ではしばしば赤字経営となっていたことを示した。 (3)両校の教職員給与について、一次史料を用いて個人ごとに給与額を明らかにした。教員給与は総人件費の約7割、職員給与は同様に約2割を占めていたが、教員及び職員給与ともに極めて大きな階層性が存在していたことが明らかになった。その階層性には教員の場合は自校出身者か否か、担当授業科目の難易度といった要因が背景として存在していた。また職員の場合は役職の有無が大きく関係しており、これまでの先行研究から想起されるものと異なり、学長クラスは帝大総長に相等する給与を得ており、管理職の中には専任教員より多額の給与を得ていた職員も存在していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究の最終年度であり、明治後期から大正期における早慶両校のガバナンスと教職員給与の分析を行い、得られた知見を論文としてまとめることが求められた。ガバナンス及び職員給与については論文としてまとめたが、早稲田の教員給与については現在執筆中であり、若干遅れてしまったものの、ほぼ計画通りと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
近代日本における私立高等教育機関の代表事例ともいえる早慶両校の財務・経営実態については、本研究の遂行によってほぼ全容が明らかになったと思われる。今後は本研究で得た知見を総合的な形式でまとめ、平易な文章で広く公開することが望まれよう。また史料の制約はあるものの、帝国大学や官立大学、他の私立大学との比較分析を行い、近代日本における高等教育機関の経営実態の全容を明らかにすることが求められよう。
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