研究課題
特別研究員奨励費
私は、昨年度までにミトコンドリアに存在する酵素GPATの産生するLPAがミトコンドリア融合因子Mitofusin(GTPase)の活性を促進することでミトコンドリアの融合を促進していることを明らかにした。そこで、本年度はLPA産生酵素であるGPAT自身の制御に着目し解析した。また、既知の脂質によるミトコンドリア融合制御機構との関連について検討した。まず、ミトコンドリア融合とGPATのタンパク質発現の関連について検討した結果、ミトコンドリア膜電位消失時にGPATはユビキチンプロテアソーム経路で分解されていることがわかった。膜電位の低下によりミトコンドリアは断片化し、分解を受けることが知られている。この事実を踏まえると、GPATの発現量(LPAの産生量)がミトコンドリアの融合及び品質管理を決める因子の1つである可能性が考えられた。これまでに脂質によるミトコンドリア融合制御に関する報告はほとんどないが、ホスホリパーゼの1つmitoPLDによるカルジオリピン(CL)の分解とそれに伴うホスファチジン酸(PA)の産生を介したミトコンドリア融合促進作用が報告されている。そこで、これらとの関連性を調べた結果、GPATを発現抑制したHeLa細胞ではPA、CL量についていずれもコントロールと変化が見られなかった。私は、ヒト培養細胞のみならず線虫C. elegansにおいても同様にGPAT-LPAを介したミトコンドリア融合制御機構が働いていることを明らかにしている。そこで、C. elegansにおけるmitoPLDの相同分子を探索したが、C. elegansには保存されていなかった。また、線虫GPAT変異体におけるPA、CL量は野生型と比べて変化がなかった。これらの結果からも、私の見出している経路は既知のmitoPLDを介したものとは異なることが強く示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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The EMBO Journal
巻: (in press) 号: 9 ページ: 1265-1279
10.1038/emboj.2013.77