研究課題/領域番号 |
12J10384
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
向井 悠一朗 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 製品戦略 / イノベーション / 製品開発 / 造船 / 複雑性 / 大規模性 / 組織間関係 / 製品アーキテクチャ / イノベーション・マネジメント / 生産管理 / 建築 / トラック |
研究概要 |
本研究は大型人工物の製品開発組織において、製品の設計思想と組織間関係の関連性を明らかにすることを目的としている。研究方法としては、ケース・スタディが中心となる。 次に調査状況について述べる。本研究は大型人工物のイノベーションを研究対象としているが、昨年度の進捗状況を踏まえて、今年度は造船産業を中心に据えた。また、昨年度は2次資料を用いた定量分析を行なっていたが、それをふまえて今年度はフィールドワークを中心に取り組むこととした。そこで、国内外の造船会社にアプローチし、日本と韓国の複数の造船会社への訪問が実現し、うちいくつかの企業では機関艤装設計の課長クラスの方へのインタビューおよびディスカッションが実現した。本年度は、2次データだけでは知ることのできない造船産業におけるイノベーションについて、企業訪問によって調査してきた。こうした調査活動をふまえて、学会誌への投稿、学会発表などの形でまとめている。 一方で、今年度は理論的検討も重視した。複雑で大規模な製品やシステムの開発に関する先行研究をレビューした(『赤門マネジメントレビュー』の経営学輪講2本にまとめた)。さらに、先行研究では、人工物の「大規模性」と「複雑性」が区別して認識されていないまま議論が進められていた。そこで、「大規模性」と「複雑性」を区別し、「大規模」ゆえに生じる戦略的、組織的論点について考察する必要があることがうかがえた。本学振期間は終了するが、こうした観点から、造船産業においてみられた現象を検討している最中である。 昨年度の研究アプローチと定量データによる検討をふまえ、本年度はフィールドワークと理論的検討の両者を同時並行で取り組んできた。特に造船産業に関して、実際の企業訪問などを通して、実務担当者へのヒアリングおよびディスカッションを数多く行なうことができた。これにより、いくつかの発表を行なうことができた。同時に、本年度は、理論的な検討も進めることができ、本研究をより発展させるための論点を明確化できた。このように、本年度はバランスよく実証研究を行なうことができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の進捗をふまえて、研究対象として造船産業を中心に据えた。その上で、国内外複数社への企業訪問が実現した。一方で、本研究テーマに関連して、SimonからCoPsプロジェクトにいたる理論的検討も同時に進めることができた。このように、本年度は実証研究として、理論と現実をバランスよく研究することができた。論文などの形で発表しつつあるが、成果発表については一層取り組む余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、理論的検討とケース・スタディをバランスよく行なうことができた。この結果、理論と実務の両面から人工物の「大規模性」ゆえに生ずる問題について解明する必要性が明らかとなった。しかし、これまでの研究では、人工物の「大規模性」と「複雑性」が明確に区別されないまま議論されていることが明らかとなった。「大規模性」と「複雑性」を区別したうえでの研究を進めることが、今後の課題として残された。また、造船産業の調査を進めるうえでの課題として、自動車産業のようにすでに研究が進んでいる業界と比べて、複数の企業を訪問することができたが、それでも訪問が困難な場合が多かった。このため、実務的な要請にこたえる研究を一層進めていく必要があると思われた。
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