研究課題/領域番号 |
12J10399
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
臨床心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅垣 佑介 東京大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | うつ / 援助要請 / 援助資源マッチング / インターネット / うつ病 / 抑うつ / サービス・ギャップ |
研究概要 |
うつ病・抑うつに対しては、エビデンスにより有効性の裏付けがある程度なされた心理学的援助技法が存在するが、必要とする多くの人が適切な援助を受けられていない「サービス・ギャップ」という現象が知られる。本研究課題ではサービス・ギャップの改善を目指し、うつに苦しむ者が心理援助に対してアクセスしやすくするために(1)援助要請行動を促進する、(2)従来とは違う形態のサービスとしてインターネット上で援助プログラムを提供し効果を検討する、という二つの観点から研究を行った。(1)については、大学生を対象とし、うつや自殺といった問題に関して学内の相談機関に援助を求める際の内的プロセスをモデル化し、各段階を促進する要因を検討した(木村・梅垣・水野, 印刷中)。結果から、援助要請を促進するには当事者の認識にあったかかわりが重要であることが示された。また、研究代表者が前年度から進めてきた援助要請行動に関する各研究を連ねた博士論文が書籍として刊行された(梅垣, 2014)。(2)については、臨床心理学研究におけるインターネットの役割を考察したうえで(末木・梅垣, 2014)、認知行動療法のセルフ・ヘルプ・プログラムをオンラインで提供している英国エクセター大学に一年間渡航し、プログラムの開発と実施、ランダム化比較試験による効果の検討に関わった。これらはいずれも国内外の学術誌への投稿論文として執筆中、または発表予定である。結果はまだ分析途中であるが、インターネット上で提供されるプログラムは対面式の治療・援助にアクセスできない人に対しても提供でき、対面式援助と同等の効果が見込める可能性が示されている。プログラム上である程度まで進んだ参加者にはうつ症状の有意な改善が見られており、自助プログラムとして有望な結果が得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年間イギリスに渡航し、英語版の認知行動療法自助プログラムの実施と効果の検討に関わった。これらはいずれも投稿論文として執筆中、または分析中である。日本語版については内容面ではすでに完成しており、当初の計画と比べてもおおむね順調な進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
パイロット・スタディにより日本語版オンライン・プログラムのfeasibilityをチェックし、改良を加えたうえでうつ・不安に対する有効性を検証することが望まれる。また、あわせて(1)症状を低減する以外の効果の検討(利用者の満足度、ウェルビーイングの改善、再発予防など)、(2)オンライン自助プログラムがどういった人に使われやすいのか、どういった人に有効かといった内容の検討、など、プログラムの改善とターゲットの見極めという二つの観点から知見を積み重ねる必要がある。
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