研究概要 |
味質変化に対する調査と評価 陰極刺激を用いた塩味知覚の制御手法において, 各種基本味と金属味に対し, それぞれの味質変化についての詳細な調査をおこなった. 研究代表者は前年度に, 陰極刺激の提示と停止によって塩味の知覚が制御されることを活用し, 利用者の飲食に合わせ自動的に塩味の制御を行う手法を提案している. その基本的な効果については検証済みであるが, その際に得られた知見から, 塩味以外の各種味に対する影響も調査する必要性が感じられた. その為, 塩味を含めた5基本味と金属味に対し陰極刺激の付加前・付加中・付加後の味質評価実験を行った. この結果に関しては, 国際会議で採択され, Best Paper Awardを受賞した. 提案・構築した装置および利用手法改良装置の安全性・機能性の向上に向けた改良として, 装置電源部として電気味覚計の接続を選択出来るようにした他, 提示極となる食器の金属素材の変更を行った. この改良によって, より安全性が確保された装置が提供可能となっている. 研究成果の広報 研究成果の広報の機会として, HCGシンポジウム2013食メディア研究会企画セッション「おいしさの創り方~共食・錯覚・電気味覚を使って! ?~」にて研究紹介とパネルディスカッションでの討論参加の機会を得た. また, 第7回錯覚ワークショップにて「姿のない味-電気味覚による食の制御-」の題で60分間の講演を行った. 錯覚ワークショップでの講演は研究代表者の所属する分野と若干異なる聴講者が多いものであったが, 建設的な議論が繰り広げられた. 本研究は新規性が高く萌芽的な内容であるため, その研究の重要性を伝える機械が得られたことは本研究にとって意義のあるものであると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は主に提案に対する評価の拡充と, 成果の広報に注力しているが, 成果は論文誌に採択された他, 国際会議にてBest Paper Awardを得ている. また, 研究成果全体としても, 研究の目的にて記述した成果がおおむね達成出来ているほか, その広報機会も多く得られているため, 順調な進展であると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては, 長期利用における評価や, 電気味覚と他の味覚制御技術との併用に置いて評価を行い, 電気味覚の活用可能性を拡充していくほか, 食文化や健康維持における貢献を図る予定である.
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