研究課題
特別研究員奨励費
絶縁体基板上での液中電位計測技術の開発 : 探針-電極間の間に印加された交流電圧が、電極上に配置された絶縁体を介することによって、実際に探針にかかる交流電界は減衰される。その減衰量を見積もる方法について検討した。ポテンショスタットで探針の電気化学ポテンシャルを制御すると、探針-基板間の電位差は、ケルビンプローブ顕微鏡法(KFM)と酷似した挙動が見られた。しかしながらKFMと異なり、交流電圧の周波数依存性があることや、探針側の電気化学ポテンシャル制御でしか起こらないことから、カンチレバーの表面応力に伴う現象であることがわかった。いくつかの仮定を考慮すれば、この手法で補正が可能であるが、適用範囲が大幅に制限される。今後は、有限要素法によるシミュレーションなどと併用して減衰率を検討したい。銅配線腐食評価への応用 : 電子線後方散乱回折法(EBSD)で方位を調べた銅配線の結晶粒のNaCl水溶液中における腐食について、構造と電位分布測定から結晶方位による違いを比較した結果、方位によって溶出速度が異なることがわかった。また、腐食の進行が遅くなるにつれて電位が低くなる様子も見られた。腐食は電極電位と大きな関係があることから、今後は測定値と電極電位との関連性について検討する。液中周波数変調AFM (FM-AFM)によるCaF2表面の原子スケール観察 : 本課題の予備的実験を兼ねて、液中FM-AFMを用いてCaF2/水界面の構造観察を行ったところ、結晶が溶解する溶液条件では、中性付近のpHでは、表面近傍のCaイオンと水溶液中のOHイオンが表面近傍で結合してカルシウムヒドロキソ錯体を形成して表面に吸着するのに対し、低いpHでは、表面近傍のプロトンが表面に吸着する様子が原子スケールではじめて観察された。また、過飽和溶液中では、表面が原子スケールで平坦性を保ちながら結晶成長していく様子が見られた。
(抄録なし)
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