研究課題
特別研究員奨励費
RNA結合蛋白質Nuclear Factor 45 (NF45)は、Interleukin(IL)-13及びIL-2の産生を転写及び翻訳レベルで調節することが試験管内で示されている。しかしながら生体におけるNF45の機能は不明な点が多い。そこで我々は上記の点を明らかとするため遺伝子改変(Tg)マウスを作出し、表現型解析を試みている。昨年度までの解析より、NF45 TgマウスにおいてCD8陽性T Cell Receptor vb陽性T細胞の顕著な減少を見出している。この結果よりNF45 Tgマウスは感染や腫瘍における細胞性免疫の応答性が低いことが示唆された。一方で、NF45は結合パートナーであるNF90と複合体(NF45-NF90)を形成することで、安定化することが知られている。従ってNF45-NF90 TgマウスはNF45の機能増強が期待される。そこで本年度は、NF45-NF90 Tgマウスを用いてNF45-NF90による免疫制御の詳細な解析を行った。その結果、NF45-NF90が過剰発現する骨格筋は委縮しておりかつ白血球遊走因子である複数のケモカインの発現が顕著に増加することが明らかとなった。また他の研究グループにおいて、骨格筋に存在するマクロファージや繊維芽細胞のケモカインの産生増加が筋再生を促すことを報告している。そこで我々は筋再生マーカーの発現検討を行った結果、NF45-NF90 Tgマウスにおいて筋再生マーカーの発現増加を見出した。以上の結果より、NF45-NF90はマクロファージや骨格筋中の繊維芽細胞のケモカイン産生を促すことで筋再生を促進させることが示唆された。また上記の解析過程で、NF45-NF90 Tgマウスの骨格筋に未成熟な筋繊維が多数存在することが明らかとなった。さらにNF45-NF90は筋分化促進に作用するmicroRNA産生を抑制し、筋疾患原因遺伝子の発現を増加させること見出した。この結果より、NF45-NF90は筋分化促進に働くmicroRNAの産生を抑制することで、筋疾患を引き起こすモデルが示された。上記の知見に関してはMolecular and Cellar Biologyに報告した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular and Cellular Biology
巻: 印刷中
PLoS One
巻: 7 号: 8 ページ: e43340-e43340
10.1371/journal.pone.0043340