配分額 *注記 |
3,630千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 330千円)
2014年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2012年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究実績の概要 |
膜分子がサブオルガネラのレベルで偏りをもって分布し機能的なドメインを形成しているとの仮説が広く受け入れられている。しかし個々の膜脂質の膜内分布を詳細に明らかにした例は限られている。そこで、膜脂質の分布解析に優れた急速凍結・凍結割断レプリカ標識法を応用して形態学的に膜ドメインの実証を目指した。 本研究の開始時点で、ホスファチジルイノシトール(3,5)二リン酸(PI(3,5)P2)の詳細な細胞内分布は知られていなかった。しかし、PI(3)PとPI(3,5)P2に結合するATG18タンパク質をプローブとし、さらにPI(3)P特異的な結合能を示すp40phox PXドメインタンパク質を用いてPI(3)P結合性のみを競合的に阻害することにより、PI(3,5)P2特異的な標識が可能になった。 次に、PI(3,5)P2発現量を増加させる高張液処理を施した出芽酵母にこの手法を適用した。PI(3,5)P2の標識は液胞膜に特異的に認められ、細胞由来サンプルにおいても本手法の有効性が示された。興味深いことに、高張液処理した液胞膜には膜タンパク質が排除された膜ドメインが認められ、PI(3,5)P2の標識はこの領域に集中していた。 さらに哺乳類細胞においてPI(3,5)P2の細胞内分布を検索したところ、標識はエンドソーム様の細胞内小胞に限局していた。この小胞は特徴的な細管状の突起構造を有しており、後期エンドソームのマーカーであるRAB7陽性であった。詳細に観察すると、PI(3,5)P2の標識はこの突起部からは排除される傾向にあり、小胞部分において集中していた。以上の結果から、PI(3,5)P2が種差を超えてドメイン状の分布をとることが初めて明らかになった。本研究を通じて、後期エンドソーム・リソソームにおいてPI(3,5)P2に富む新たな機能的ドメインが存在する可能性が示唆される。
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