研究課題
特別研究員奨励費
今年度は、ダイレクト型不斉付加反応における求核種前駆体にアセトニトリルの適用を試みた。ニトリルはソフトLewis塩基性を有しており、チオアミドアルドール反応で得られた知見を生かして効果的に求核的活性化が可能と考えた。また、ニトリルの官能基変換多様性から、研究課題の最終目的である実践的ポリオール合成にも繋がると考えた。アセトニトリルを求核種前駆体とするダイレクト型不斉付加反応としては、2006年に柴崎・金井らによって報告されたアルデヒドへの触媒的不斉付加反応の一例に留まり、対応するアルジミンへの同反応の報告例がなかった。私は、採用初年度の研究を通して得られたソフトLewis塩基性官能基の求核的活性化に関する知見を基に、アセトニトリルの持つソフトなLewis塩基性に着目し、ソフトLewis酸/ハードBrønsted塩基協奏機能触媒を駆使することで穏和な条件下でアセトニトリルの脱プロトン化が進行し、アルジミンへのアセトニトリルのダイレクト型触媒的不斉付加反応が可能になると考えた。種々検討を行ったところ、[Cu(CH_3CN)_4]PF_6、(R, R_P)-Ph_T aniaphos、Barton塩基から構成される触媒を10mol%用いることで、ハFチオホスフィノイルイミンへのアセトニトリルの不斉付加反応がDME中50℃にて円滑に進行することを見出した。種々の電子吸引性・電子供与性置換基を有する芳香族イミンに対し、中程度の収率(37~72%)、エナンチオ選択性(29~52%ee)ながら目的付加体が得られた。なお、アルジミンとしてソフトLewis塩基性を持たないN-ホスフィノイルイミンを利用した場合、本不斉反応は進行しないことが確認された。活性求核剤であるCu-アセトニトリル種近傍においてアルジミンの同時活性化がなされ、効率的かつ立体選択的なC-C結合形成が進行していると示唆される。
(抄録なし)
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