研究概要 |
ダニアレルギーワクチンの開発基盤の確立を目的として、11,520のコナヒョウヒダニ由来完全長cDNAとその塩基配列を基に、新規ダニ抗原のスクリーニングを行った。これまでの研究成果により選択された20の既知抗原クローン群Dおよび20の新規抗原候補クローン群HAを、GeneGunを用いてマウスに免疫し、免疫応答を解析したところ、D, HAともに、ダニ抗原特異的な脾臓および所属リンパ節細胞の増殖およびサイトカイン産生量が、コントロールに比べて上がっていた。このことから、免疫したこれらのクローンによるマウス体内でのダニ特異的免疫応答の誘導が確認された。HAを、発現量の多かったものから5クローンずつ4つのサブセット(HA1, HA2, HA3, HA4)に分割し、同様の手法でマウスに免疫した後、ダニ特異的免疫応答を解析した。その結果、HA3を免疫したマウスの脾臓細胞において、ダニ抗原特異的なサイトカイン産生量が上昇しており、また、HA3免疫マウスの血清中に、ダニ抗原特異的なIgG産生が確認された。次に、HA3を構成する5クローンを個別にマウスに免疫し、同様の手法で免疫応答を解析したが、ダニ特異的な免疫応答を有意に誘導したクローンは無かった。これらの結果より、HAを構成する20のクローンのうち、マウスに免疫する事によりダニ特異的な免疫応答を誘導するクローンはHA3を構成する5つのクローンに絞り込まれた。しかし、これらの5つを個別に免疫するとその効果が見られなくなったことから、ダニ特異的免疫応答を誘導するためには複数のクローンを同時にマウスに免疫する必要がある可能性が示唆された。ここまでの成果は、第42回日本免疫学会にて発表した。 一方で、本研究課題と同じスキームでマラリアワクチンのスクリーニングをおこなった研究を論文にまとめ、発表した(Exp、Parasitol. 2013)。
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