研究課題/領域番号 |
12J40200
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 京都大学 (2013) 信州大学 (2012) |
研究代表者 |
阿尾 あすか 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2014-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2013年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 京極派和歌 / 伏見院 / 東京国立物館蔵『伏見院詠草』 / 和歌表現 / 持明院統宮廷 / 日本文学 / 中世韻文学 / 和歌 / 持明院統 |
研究概要 |
本研究二年目は、当初の計画を多少修正し、一年目の研究結果を発展させて、より詳細な検討を加えた。一年目の研究結果については、二年目の平成25年度に「東京国立博物館蔵「伏見院詠草」の性格―合点・丸印の意味するもの―」の一部にまとめた。伏見院自筆の歌稿、東京国立博物館蔵『伏見院詠草』は、未だその価値の定まらない資料であるが、資料価値の再検討を行っていく中で、当該資料が様々な資料の複合体であること、すなわち一個の資料としての統一性のうすいことが明らかとなった。二年目は、その結果を受けて同詠草の価値と和歌表現の分析、同詠草が伏見院の和歌資料の中でどのように位置づけられるかについて再度詳細な検討を行い、同詠草が、京極派和歌歌風確立以前の揺藍期から歌風確立期までの間の伏見院の歌稿が切り継ぎされた資料であることを特定し得た。その成果は、上記の論考に発表した。当該論考によって、京極派歌風模索期から歌風確立期にかけての、伏見院の和歌の表現傾向、歌風変遷がより明確となり、伏見院の歌人像が明らかとなった。また、上記以外の研究成果としては、「『蒙求和歌』第三類本本文〈三〉―哀傷部から雑部―」(共著)、「『花園天皇日記(花園院震記)』正和二年五月記-訓読と注釈-」(共著)がある。前者については、伏見院の和歌表現における漢詩文摂取の考察のため、『蒙求和歌』の翻刻を行った。また、後者は、伏見院晩年期の持明院統宮廷の文化と政治状況を知るために注釈を加えた。また、当該研究以外に、韓国学中央研究院のプロジェクト、「高麗時代の公共性研究」(平成24年(2012)8月~平成25年(2013)11月)に参加し、平成25年8月の韓日国際学術会議で「「家」という日本の中世的公共性について―「歌の家」を中心に―」を発表した。当該発表では、中世日本社会の「家」を公共性の視点から捉え直しを提起することができ、特別研究員としての研究課題の進展にも有益なものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一年目の研究によって、従来の伏見院の資料研究が一部資料においてしか進展がなく、それ以外の資料の研究は資料価値の評価付けすら明らかでなく、再検討が必要であることが判明した。それを受け、更に一年目の研究内容を発展させる必要が生じたためである。一年目の研究を更に進めたことによって、より正確な研究成果は得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き伏見院の初期の作風と和歌活動を知る上で大変重要な資料である、東京国立博物館蔵『伏見院詠草』の資料研究と、同詠草に顕著な『万葉集』の句表現の摂取についての考察を行う。一・二年目の研究によって、『伏見院詠草』が伏見院が京極派歌風を確立するまでの過程を知る上での重要な資料であることが明らかとなったが、同詠草が様々な機会にまとめられた歌稿を継ぎ合わせたものであり、同院の初期和歌活動を知るためには更に詳細な検討を加える必要があることも同時に判明した。今後は他の伏見院の和歌資料との比較を行いながら、同詠草がどのような性質の資料であるかをより明確にしてゆく。また、同院の歌風形成と万葉集摂取との関係についても考察する。以上のことを終えた上で、同時代絵画との影響関係や宗教思想との関わりについても検討してゆく予定である。
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