研究課題
特別研究員奨励費
我々は、Th2細胞の機能維持にMeninが重要な役割を果たしていることをすでに報告している。本研究では、IL-17A産生においてMeninがどの部分を特異的に制御しているのか、どの分子と一緒に作用しているのか、Menin欠損により標的遺伝子への影響がいつ現れるのかを明らかにし、アレルギー性喘息モデルマウスを用いて多面的に病態形成への関与の解析を目指した。今年度は下記の実験を行った。1.IL-17A産生におけるMeninの役割の検討Meninの直接的な遺伝子発現制御を検討するため、遺伝子発現の調節を行なうRNAポリメラーゼII(RNAPII)のリン酸化状態(2P,5P)との関連性をChIPを用いて検討した。その結果、Menin欠損型ではRNAPIIの集積が障害されていることが分かった。2.MeninによるTh17細胞関連転写因子への影響IL-6の下流のSTAT3を欠損したTh17細胞を用いてIll7a遺伝子座へのMeninの結合能の変化をChIPにて検討した。その結果、Meninの結合はSTAT3に依存して起こることが判明した。3.Meninによるマスター転写因子Rorc発現維持への影響MeninはRorc (RORgtをコードしている遺伝子)の遺伝子座にも結合するが、野生型とMenin欠損Th17細胞のRorc遺伝子発現量は同程度であった。そこで、Th17細胞を長期培養し、Rorcの遺伝子発現を経時的に観察したところ、Menin欠損型では発現レベルが徐々に低下していた。4.Menin欠損TL17細胞におけるアレルギー性喘息への影響Menin欠損Th17細胞移入による喘息モデルマウスの肺胞洗浄液を調べると、野生型に比べ浸潤好中球数やサイトカイン濃度の減少が見られ、Menin欠損によりアレルギー性喘息が軽減されると結論づけた。
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 109 号: 42 ページ: 16992-16997
10.1073/pnas.1203494109