研究概要 |
HIVのワクチンにはenv,gag,pol等に対する細胞障害性T細胞(CTL)の活性を主とする強い免疫反応の惹起が重要である。今回我々は免疫宿主に強い免疫能の付与を目的に新世代DNAワクチンの開発、検討を今回行った。まず、IL-2、IL-12、GM-CSF等の発現プラスミドをHIVワクチンに挿入することにより、強い免疫応答が得られた。次にHIVのenv,gag,polの感染防御抗原を構成する約15前後のアミノ酸をコードする約1.5KbのDNAをヒト型コドン化した。エピトープをコードしている複数のDNAを直列に繋ぎ、その上流にCMVプロモーターを結合させ、更にカスパーゼやユビキチンなどの遺伝子をも挿入したものも作製した。これらには免疫増強活性が観察された。これらの新世代DNAワクチンの免疫原性及び抗HIV-1活性をHIV-1ワクチニア、キメラウイルスを用いたチャレンジ実験で有効性が認められた。一方、この10数個のエピトープをコードしているDNAをワクチニアウイルスベクターLC16m8に挿入し、追加免疫用のワクチンとして作製し、その免疫原性を現在確かめている。LC16m8株は日本で独自に開発され、副作用が、極めて少なく、有効性が高いワクチンとして臨床試験も行われているものである。それら両方が揃った場合に、新世代DNAをまず免疫し、次にLC16m8株由来ワクチニアウイルスベクターを追加免疫した後、種々の免疫反応を検討し、その有効性を検討していく。
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