研究課題/領域番号 |
13016214
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
稲葉 俊哉 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60281292)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 遺伝子 / 癌 / アポトーシス / シグナル伝達 / 発生・分化 |
研究概要 |
造血前駆細胞の生存維持システムの異常は白血病の発症に直接・間接に関与するという立場から、当研究費では特にBcl-2スーパーファミリーに属するBimやその関連因子Bimβに焦点を当て研究をおこなった。BimはBH3細胞死誘導因子のメンバーであり、サイトカインによってその発現が抑制される。またBim欠損マウスは慢性骨髄性白血病(CML)様の症状を示すことから、われわれはBimのCML発症に対する関与を検討した。Bimはサイトカイン受容体からの古典的なRas/Raf/MAPK経路と、Ras/PI3-K/mTOR経路の双方により発現が制御されているが、Bcr-Ablは双方の経路を活性化することが知られているため、このキメラがBimの発現を抑制する可能性を検討した。Bcr-Ablをサイトカイン依存性細胞内で強制発現させるとサイトカイン非存在下でも細胞は増殖を続け、この際Bimの発現はほぼ完全に抑制された。ヒトCMLの急性転化由来細胞株やPh^1染色体陽性ALL由来細胞株ではPh^1染色体陰性AMLやALLに比べてBimの発現が抑制されていた。またこれらの細胞に対し、Abl特異的チロシンキナーゼ阻害剤STI571を用いてアポトーシスを誘導したところ、Bimの発現誘導が認められた。またCMLを必発するBcr-Ablトランスジェニックマウスを用いた検討を行った。このマウスは寛徐にCMLに酷似した症状を呈するモデルマウスである。正常マウス由来の骨髄細胞をサイトカイン存在下で短期培養し、幼若な造血前駆細胞を単離しサイトカイン非存在下で培養すると速やかにアポトーシスを起こすが、この際Bimの発現が誘導された。方、Bcr-Ablトランスジェニックマウス由来の細胞はサイトカイン除去によるアポトーシスに抵抗するが、この際Bimの発現誘導は抑制されていた。以上の結果よりBcr-AblによるCML発症にBimの発現抑制が関与している可能性が示された。
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