研究概要 |
様々な変異体を解析している過程で、イネの葉身が中肋を中心にした左右の幅が非対称であることに気がついた。そこで、葉位ごとに左右の幅を測定したところ、葉位に従って、幅の広い方が1枚おきに出現することがわかった。即ち、SAMの左右いずれか一方の側に形成される葉身の幅がより広くなるのである。このことは、最初に分化する葉原基はSAMを取り巻くように左右に伸長するが、その高さが左右で異なることを示唆している。SAM上の葉原基及び葉原基の始原細胞の位置を詳細に調べたところ、実際に葉原基の高さがSAMの左右で異なることが明らかになった。従って、SAMは葉序軸を中心にした左右で非対称であると考えられる。 葉、花、根などに多面的な異常を示すfib変異体を解析した。fibは、葉のサイズ、葉序、葉の巻き方,茎の維管束の数及び走行、ラミナジョイントの角度、花での鱗被のアイデンティティー、根の重力屈性、側根、冠根の分化などの異常を示した。これらの異常のいくつかはオーキシンが関与していることが知られている。そこで野生型にオーキシン極性輸送阻害剤を処理したところ、fibの表現型をミミックできた。次に、fibの穂軸、根におけるオーキシン極性輸送を測定したところ、fibでは極性輸送が大幅に低下していることが明らかになった。 短い葉間期と1次枝梗のシュートへの転換を示す栄養成長期が延長するpla1変異体に似た変異体pla2を同定した。pla2はpla1よりも早い速度で葉を分化するともに、生殖成長期でも,pla1よりもsevereな表現型を示した。従って、栄養成長の期間は、葉原基の分化速度と同じ制御の下にあると考えられる。
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