研究課題/領域番号 |
13018210
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 克巳 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (00135964)
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研究分担者 |
長島 弘明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00138182)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 国学 / 芳賀矢一 / 文献学 / アウグスト・ベック / ヴィルヘルム・フンボルト / 解釈学 / 新しい古典学 / 古典教育 / フンボルト / 源氏物語 |
研究概要 |
明治新政府の欧化主義的学術教育政策が急激に進展してゆくなかで、草創期の国文学を担ったのは、小中村清矩ら、近世後期考証学の流れを汲む国学者たちであった。小中村らは、近世国学の復古的・国粋主義的イデオロギーを払拭し、近代西洋諸学に伍しうる国家有用の学としての新しい国学を提唱したのであり、それはそのまま小中村門下の芳賀矢一に課せられた課題でもあった。しかし、芳賀においては、専門分化してゆく学問の趨勢のなかで、近世国学が有していた総合性を保ちつつ、いかにして近代的な学として国学を再生しうるかという課題が、小中村らにおけるよりもはるかに困難にして切実な課題になっていた。本研究は、ドイツに留学した芳賀が、かかる課題に答えるために、どのようにドイツ文献学を摂取したかを検討し、とくにアウグスト・ベックの文献学の受容においては、シュライエル・マッハーからベックを経てディルタイへと継承展開された解釈学が芳賀にはまったく受容されていないこと、また、ヴィルヘルム・フンボルトの受容もきわめて一面的であったこと、そして、芳賀の日本文献学に内在していたかかる問題が、個別的な研究では豊かな成果をあげながらも、全体としては拡散化しているこんにちの国文学研究の現状にそのまま持ち越されていることを明らかにした。また研究分担者の長島は、『古事記』『万葉集』『徒然草』のような作品は、国学や、国学成立直前の貞門俳人や儒学者たちによる新しい古典研究によって初めて「古典」としての地位を与えられたのであることを明らかにした。なお本研究は、こうした国文学批判を通して、新しい日本古典学のありかたを探ることをも重要な課題としていたのであるが、その試みとして研究代表の藤原は『菅原道真 詩人の運命』を刊行した。また、新学習指導要領の検討を通して、高等学校における古典教育の現状をも分析した。
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