研究概要 |
本研究は,抄物(しょうもの)とその被注原典との対照のために,本文データベースをXMLで構築することを目的とした。 具体的には,日本中世屈指の抄物である惟高妙安の『玉塵抄』の被注文献『韻府群玉』の小見出しと,過年度の研究で入力済の『玉塵抄』加注部分との相互参照関係(リンク)をXMLの構造・リンク情報として表現することを試み,『玉塵抄』本文と連係させた注釈・被注釈データベースの表現形式を検討した。 上記の目的のため,『韻府群玉』の入手し得た諸本写真を対校し,『玉塵抄』が注釈対象としている「平声」部分を中心として,小見出し(熟語・成句)部分をマークして当該部分のテキストデータを作成し,それを構造的にマークアップして,玉塵抄の被注釈データベース表現とした。 この原典との対照過程で,抄物が,その言語に原典からの影響が色濃く現われる現象を見出し,原典参照が注釈表現に与えた影響の問題として考察した結果を報告書に詳述した。 又、上記のデータベース表現の検討の過程で,XMLの完全木構造の階層構造・リンク方式に本質的な問題点を認め,それを構造の問題とボキャブラリの問題の二つの角度から検討して,XMLによる文献学的データ表現の問題として,報告書に詳述した。
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