1999年度から九州大学と野村総合研究所が3次元仮想空間チャツトシステムの外国語授業への応用と改良に取り組んできたのを受け、本研究においては、北海道大学言語文化部・京都大学大学院教育学研究科・野村総合研究所の協力を得て、九州大学と北海道大学をインターネットで接続して遠隔英語実験授業を実施し、よりよい授業方法を探り、またその中で得られた知見をフィードバックして、より快適な授業を可能とするようなさらなる改良をシステムに施した。 授業方法としては、受講者を対象としたアンケート調査により、タスクの形式は非日常的なもの、内容は日常的なものが望ましいことがわかった。 システム上の改善点には授業の成立自体に必須と思われるものもあり、遠隔地で受講中の参加者に確実に授業進行上の指示内容を伝えるためのテロップ表示や、タスクをこなす上で遠隔地に散らばる参加者をグループに分けることができるグルーピング機能などがそれにあたる。この他、細部にわたる様々な改良を加え、LL並の使い勝手の良さを目指した。 この他、授業実践やアンケート調査によって、3次元仮想空間の存在意義・学習意欲の増進効果、チャットログの計量的評価のみでもかなり妥当な成績評価ができることなどが確認された。 今後の課題としては、文字チャットのみならず音声チャットも実施する場合の諸問題、複数大学を接続しながら一人の教員で実施する遠隔授業の各実施大学での単位化などがある。
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