研究課題/領域番号 |
13021227
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古勝 隆一 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (40303903)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 開成石経 / 石経 / 補字 / 校勘学 / 『尚書』 / 『文選』 |
研究概要 |
同じ題名の書物であっても、写本、版本によって内容が完全に同じものは少ないが、このような本文の異同が、木版印刷術によりもたらされる可能性が、私の研究関心であった。つまり、木版印刷物による本文の規範化、固定化の問題である。 儒家経典の本文についての、写本から版本への移行を考える際、単に写本と木版本とを比較するのではなく、唐代、開成二年(八三七)に完成した「開成石経」の本文を中心にすることにより、この問題を有効に解くことができると考え、経書の本文形成史における開成石経に関する研究を「経書校勘上における開成石経の位置」としてまとめ、提出した。 清朝以来の「開成石経」をめぐる議論を踏まえつつ、校勘学的な比較検討を加えつつ、木版本の本文の性格を考える手がかりを探った。開成石経は完成して以来、数次にわたり補刻・改刻を加えられており、それぞれが時代の要請による本文の変更なのであるが、そのうち石経に刻まれている小字の補字は、宋代以降に加えられたもので、この小字補字に特に注目すべき理由を見いだした。それは、この字が見える箇所において、石経のもとの本文と、版本の本文とは明確に対立しており、小字の補字がかえって木版本と一致するということである。石経を不変のものとみなす固定観念は危険である。唐以前の写本の姿が、刊本時代にかなり修訂を受け、それが、のちにこの小字の補字となって石経に刻み込まれたものであった。 開成石経に、後世、添えられている字があること自体が、後世の本文と、石経の本文との断絶を表しているというべきである。木版本経書の起源は開成石経にあるとするのが通説であるが、実はこのような留保をつける必要があろうと考える。
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