研究課題
特定領域研究
本年度は満洲本の資料的性格についての検討のうち、特に朝鮮司訳院清学書(満洲語学書)の朝鮮語対訳文の資料性についての検討をおこない、その成果を、1.(2004.8.19)「朝鮮司訳院清学書朝鮮語対訳文の資料性」中国第1回満洲言語文化国際研討会・第2回ツングース言語文化国際研討会:中国海拉爾市フルンボイル賓館、および、2.(2004.12.11)「朝鮮司訳院清学書(満洲語学書)の朝鮮語対訳文の資料性」平成16年度文部科学省研究費特定領域研究「東アジア出版文化の研究」(F)班研究会:京都京大会館において発表した。その概要は以下のとおりである。朝鮮司訳院刊行の訳学書の朝鮮語は、漢・清・蒙・倭の各原文を極端に直訳することが多く、その他の資料にあらわれる朝鮮語とは異なる様相を呈している場合がある。本論文は、そのような現象のひとつとして、清学書(満洲語学書)の朝鮮語訳文にあらわれた主語的属格の用法を取り上げ、その他の朝鮮語資料にあらわれた同用法との比較の観点から、その同質性と異質性を明らかにしようとしたものである。清学書の朝鮮語訳文にあらわれた主語的属格の用法を、その他の朝鮮語資料にあらわれた同用法と比較するに、おおむねは一致するも、まれに逸脱した例が見られる。たとえば、属格をとる名詞と主要部の名詞とのあいだに所有関係がみとめられない例や、属格をとる名詞がかかる(修飾する)主要部の名詞が見当たらない例が存在する。これらは、満洲語原文の干渉を受けたものと考えられる。
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東アジア出版文化研究 こはく
ページ: 169-185
Kohaku A Study of Publishing Culture in East Asia
『東アジア出版文化研究 こはく』知泉書館