研究概要 |
ヒスタミン(HA)は神経伝達、胃液分泌、アレルギー反応に関与する生理活性アミンであり、食品衛生においては魚の鮮度マーカーである。分子シンクロナイゼーション系を組み込んだHAの高感度酵素免疫測定法EIAの構築を検討した。HAに対するモノクローナル抗体AHA2を獲得し、AHA2とHAとの相互作用を表面プラズモン共鳴法により解析した。AHA2の作出に用いた抗原HA-GA-BSAとAHA2との相互作用解離定数Kdは1nMであるが、HAとのKdは1μMであった。この差異はAHA2がHAと架橋剤GAとの結合部位をも認識する結果であると考えられた。HAにGAを共有結合させたHA-GAに対するAHA2の結合力は、HAに対する結合力に比べてl00倍増大したが、HA-GA-BSAの結合力に比べてかなり弱かった。AHA2と各種HA類縁体[His,α-methyl His,1-methylHA,3-methylHA, GABA]との交差反応性を検討した。AHA2はこれら類縁体とほとんど相互作用を示さなかった。一方、昨年度開発した3酵素反応シンクロ系を改良して、化学発光検出系を用いる4酵素系を構築した。ALP(酵素1)標識した第2抗体によりNADPからNADを生成させ、第2酵素ADHによりNADをNADHに変換する。ついで第3酵素NHRによりNADHをNADに変換するとともにFMNをFMNH_2に還元する。FMNH_2は第4酵素ルシフェラーゼによりFMNに変換されるが、このとき脂肪酸アルデヒドが脂肪酸に変換され化学発光を発する。以上のシンクロ系の最適化を検討し、ほぼ応用できる条件を見出すことができた。
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