研究課題/領域番号 |
13022250
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 茂貴 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10170672)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | オリゴヌクレオチド / 遺伝子発現阻害 / アンチセンス / アンチジーン / クロスリンク / 2-aminopurine誘導体 / 機能性核酸 |
研究概要 |
背景:合成オリゴヌクレオチドは生体内においてmRNAあるいは2本鎖DNAと複合体を形成することによって、特異的に遺伝子発現阻害を行うことが可能であり、アンチセンス、アンチジーン法として新時代の医薬品への発展が期待されている。高い阻害効率を実現するため、これらの複合体の安定化が必要であり、特に、機能性核酸を利用した核酸間を共有結合で固定化するクロスリンク反応の適用が検討されている。我々は、効率的かつ特異的な反応が、目的の標的部位でのみ活性化される分子の開発を目指し、標的核酸との複合体形成→活性化→クロスリンク反応と一連の反応がシンクロナイズして誘起される、新規機能性核酸誘導体の開発を目指している。 結果:標的塩基をシチジンとし、高い塩基選択性を実現するため、認識構造と反応部位を同一分子内に持つ機能性核酸2-アミノ-6-ビニルプリン誘導体を設計した。このビニル基を2本鎖DNA内で効率よく発生する安定前駆体としてフェニルスルフォキシド体、ならびにフェニルスルフィド体を用いることによって、「シンクロナイゼーション活性化」機構による機能発現を立案した。 フェニルスルフォキシド体を組み込んだオリゴDNAは効率的なクロスリンクを実現した。シンクロナイゼーション活性化概念を最も理想的な形で実現したのはフェニルスルフィド体(X=2-COOH)であった。つまり、この分子は非常に安定でチオールやアミンなどの強い求核剤とは全く反応しないが、相補的DNAとのハイブリダイゼーションによって速やかにクロスリンクを形成した。二本鎖内でシトシンのアミノ基とカルボキシル基によるpush-pull機構による活性化によりビニル基が再生し、引き続きクロスリンク反応が起こったものと考えられる。上記の検討によって、二本鎖内での分子シンクロ活性化の概念を確立した。さらに反応効率の高いダブル活性化構造を開発することもできた。現在これらのin vivoへの利用を計画中である。 遺伝子そのものへの特異的反応を実現するため三本鎖形成クロスリンク反応を検討した。三本鎖の遠い側のフリップアウトした塩基に接近させるためエチルおよびブチルスペーサーで糖部に連結した化合物を用いて検討したところ、エチルスペーサー化合物はTA塩基対のアデニンとブチルスペーサー化合物はGC塩基対のシトシンと非常に高い選択性で反応することが明らかになった。
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