研究概要 |
昨年までは,カメラを1次元的に左右に動かした場合のみを取り扱っていたが,より一般性を高めるために,カメラを上下左右にも動かした上での動き推定の効率化を行った.さらに,高速かつ高性能な動き推定アルゴリズムとして知られる共役法の初期探索ベクトルの推定に,ジャイロセンサからの情報を用いることで,共役法をさらに高速かつ高性能にすることを目指した. 共役法は,全探索より画像品質を大きく落とさずに探索にかかる演算量を大幅に減らすことができる.通常共役法の初期探索ベクトルは,0付近,過去の履座,左と上のマクロブロックの動きベクトルの3つの候補のなかから選ばれる. ここでは,ジャイロセンサから求められた動きベクトルを共役法の初期探索ベクトルとした手法を新たに提案して,その演算量,画質の検討を行った. カメラの動く速度は,不均一であり,このようなカメラの動きに対して,共役法では画面の動きとは全く関係なく,0近傍の動きベクトルがもっとも多いことがわかった.共役法では,演算量は少ないが,全探索と比べて,SADの値が3%程度悪くなる.これに対して,提案手法では,共役法のみの場合に比べて演算量が30%になっているにも関わらず,SADは1.7%程度の劣化にとどまっていることがわかった. 提案手法で求めた動きベクトルの中心値は,全探索で求めたものとほぼ同じ動きをする.ここでの撮影対象は,すべて静止物体である.提案手法の初期探索ベクトルは,すべてジャイロセンサから求めたものを用いている.実際には,被写体,背景,その他の3つに分類される.今後は,既存の共役法の初期ベクトルに,ジャイロセンサから得られたベクトルを加えることを検討したい.
|