研究課題/領域番号 |
13024274
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | (財)サントリー生物有機科学研究所 |
研究代表者 |
南方 宏之 財団法人サントリー生物有機科学研究所, 部長研究員 (90150143)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | Octopus vulgaris / 後唾腺 / 生理活性ペブチド / タキキニン / 前駆体遺伝子クローニング / 毒性タンパク質 / in situ hybridization / 生理活性ペプチド |
研究概要 |
マダコ後唾腺から単離した新奇タキキニン、OctTK-1と-IIの前駆体cDNAは、アミノ酸残基数87および92の前駆体タンパク質をコードしていた。分泌性ペプチドであることを示す疎水性アミノ酸を含むシグナル配列に続いて、N-末端側にプロセシングシグナルである塩基性アミノ酸-Lys-Arg-およびC-末端側にアミド化シグナルと塩基性アミノ酸-Gly-Arg-に挟まれた配列にOctTKを含んでいた。しかし、N-末端側に三残基の配列-Ser-Glu-Val-が挿入されていた。後唾腺抽出物中にSer-Glu-Val残基の付加したOctTKペプチド([SEV]OctTK)を痕跡程度にも検出することができなかった。OctTKは、塩基性アミノ酸-Lys-Arg-のC-末端側でプロセシングを受けた後、アミノペプチダーゼによってSer-Glu-Val配列が加水分解されて生成したものと考えられる。実際にOctTKのN-末端側のLys-Pro-Pro配列は、アミノペプチダーゼMやロイシンアミノペプチダーゼなどの非特異的アミノペプチダーゼによる加水分解に抵抗性を示した。これに比べて[SEV]OctTKはアミノペプチダーゼMで速やかに加水分解されてOctTKを生成した。 OctTK遺伝子は、後唾腺のみに発現している。唾腺の分泌細胞はタイプAとBの二種の細胞で構成されているが、OctTK遺伝子は、タイプAの中の粘液分泌細胞に発現していることが分かった。このことからOctTKは、粘性の唾液に含まれて分泌されることが示された。OctTKをマウスに静脈注射すると著しい心泊抑制を引き起こし、呼吸停止から死に至らしめた。OctTKは、軟体動物や節足動物には効果を示さないことから、主に餌や天敵となる魚類に毒として働いていることが示唆された。
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