研究分担者 |
ぺい 碩 東北大学, 大学院・工学研究科, 日本学術振興会外国人特別研究員
池田 愼治 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50361126)
金 基ひょん 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40361125)
薮上 信 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00302232)
石山 和志 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20203036)
荒井 賢一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40006268)
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配分額 *注記 |
42,100千円 (直接経費: 42,100千円)
2003年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
2002年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
2001年度: 14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
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研究概要 |
まず,昨年度完成し製品化も実現した9GHz帯域薄膜透磁率測定装置の性能に関し,アメリカ国立標準技術研究所(NIST)およびフランス原子力研究所(CEA)と試料交換測定によるデータ検証を実施し,10%以内の誤差で測定結果(共鳴周波数)が一致するという結果を得た.これは,本装置の性能の高さを実証したものである. 次に,昨年度のシミュレーション結果に基づいて,閉磁路型スパイラルインダクタを試作した.これは,スパイラルコイルの上下に2枚の磁性薄膜を配置しその端部を接触させた構造を有している.プロセス上のポイントは,上下の磁性薄膜間の絶縁層となるSiO2にテーパエッチングを施し,30〜45°の緩やかな角度で下部磁性膜に接触させたことである.結果として,コイル幅/間隔=10/3μmと10/5μmの設計でかつコイル表面と磁性膜との距離が1μmにおいてQ=12@1GHzが得られた.1GHzにおけるQ値としてはこれまで報告された磁性薄膜インダクタの中で最も高い値であり,RF集積化磁性薄膜インダクタの実用性を実証できた. 以上の特性解析にあたり,ダブルπ型等価回路を考案し,その16個の回路定数導出法も構築した.収束計算のコスト関数としてはZ-パラメータの対数を用いることが最適である.この解析から,1-2GHzでは,磁性薄膜をインダクタに導入してもその浮遊容量に伴うLC共振周波数の低下は生じないよう設計でき,実用上必須の条件の一つが満足できることもわかった. 磁性薄膜インダクタの作製プロセスと設計法を応用し,低抵抗のCoZrNbアモルファス膜,高抵抗のCo-Zr-Oグラニュラー膜,磁気異方性が高いCo-Pd-Al-Oグラニュラー膜などを薄膜コプレーナ線路に集積化したところ,共鳴損失と渦電流損失によって4〜20GHzまで広帯域な減衰特性を示した.この帯域の減衰量はCo-Pd-Al-Oで15dBに達した一方で,1GHz以下での挿入損失は1dB以下と良好であった.インピーダンス整合を大きく乱すことなく,高周波ノイズ成分だけを低減できている事が明らかになり,IT機器内電磁干渉対策技術のロードマップから数年以内に必要とされる集積化電磁雑音対策素子のニーズに応えうるデバイスとしての可能性を明らかにできた.
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