研究課題/領域番号 |
13027220
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
和田 勝 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (40100953)
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研究分担者 |
奈良 雅之 東京医科歯科大学, 教養部, 助教授 (90301168)
岡崎 三代 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (20013998)
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | 鳥類 / ビテロジェニン / VLDL / 内分泌攪乱 / ウズラ / 就巣性 / 内分泌撹乱 / 超低密度リポタンパク質 / エストロジェン様作用 / 生殖輸管 |
研究概要 |
野生鳥類における内分泌撹乱の現状を評価し、汚染との関係を明らかにする方法を確立するため、血中ビテロジェニンを指標にしてエストロジェン様攪乱を評価することにし、ウズラの血中ビテロジェニンを測定できるELISA系が確立した。これが野生鳥類に適用できるかを明らかにするため、キンカチョウを使ってデータを収集した。 はじめに、キンカチョウの卵黄タンパク質をSDS-PAGEで泳動をしてウズラの卵黄タンパク質の泳動パターンと比較し、さらに、ウズラ卵黄リポビテリンを抗原としてウサギで作成したポリクローナル抗体との交叉を確認するために、ウエスターンブロッティング法で確認した。SDS-PAGEによる泳動パターンの比較とウエスターンブロッティングの結果は、キンカチョウ卵黄内に、ウズラと同じように120kDa付近に二本のバンドが抗体で認識された。 キンカチョウ卵黄中にはウズラのリポビテリン抗体に交叉するリボビテリンが存在することが確認できたので、雄キンカチョウにエストラジオールを100g体重あたり0.1から公比10で1000ugまでの5段階の濃度でコーンオイル中に溶解し、7日間腹腔中に注射によって投与した。対照群はコーンオイルのみを投与した。7日間投与した後、血液を採取し、血清中のビテロジェニンをウズラビテロジェニンモノクローナル抗体によるELISAで測定し、血中エストラジオールも測定した。ビテロジェニン測定系の感度は検出限界0.0125ug/ml、エストラジオールは40pg/mlであった。血液採取後に、体重を測定し、肝臓、精巣の湿重量を測定した。体重はおよそ10gから15gなので、肝臓と精巣は10g体重あたりに換算した。上記の濃度を7日間投与したキンカチョウの肝臓の重量は群間で有意な差が認められず、精巣も1000ug投与群で減少傾向がみられたが、有意な差はなかった。エストラジオールの投与によって雄キンカチョウでも血中ビテロジェニン濃度が増加したが、0.1から10ugでは増加は認められなかった。血中のエストラジオールは1ug投与群で上昇しているが、血中ビテロジェニンの増加は認められなかった。 ウズラではエストラジオール0.1ug投与で反応する個体が認められ、1ugではビテロジェニンの明らかな増加が認められるのに対して、キンカチョウではウズラに比べて明らかに反応性が低かった。ウズラのように離巣性で卵への投資量が大きな鳥類と、比較的卵への投資量が少ない就巣性の鳴禽類では、肝臓からのビテロジェニンの供給が異なることを示しているように思われた。野生鳥類での評価は、この点を考慮する必要があるだろう。
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