研究課題/領域番号 |
13027222
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 助手 (70293016)
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研究分担者 |
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 教授 (60092491)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | オクチルフェノール / 性中枢 / 性的二型核 / エストラジオール / 春期発動 / 交尾行動 / エストロゲン / 性分化 |
研究概要 |
哺乳類の視床下部は、雌型が基本であるが、胎子期あるいは新生子期に雄の精巣から分泌されるテストステロンが視床下部内に移行し、エストラジオールに変換された後に作用することによって、雄型に変化する。本研究では、内分泌攪乱化学物質の中でエストロゲン作用を有するp-tert-octylphenol(オクチルフェノール)を雌ラットの新生子期に投与することにより性中枢の分化に及ぼす影響について検討した。雌ラットの3日齢から15日齢まで隔日にオクチルフェノールを100mg/kg体重の用量で7回皮下注射した。比較としてエストラジオールを500μg/kg体重の用量で同様に投与した。対照群には、溶媒を同様に投与した。 (1)膣開口日齢および発情周期:オクチルフェノール投与群では、膣開口日齢が17.1±0.2日齢と対照群の32.9±0.2日齢に比較して有意に促進された。エストラジオール投与群では、膣開口日齢は17.0±0.3日齢であった。膣開口後対照群では、正確な4日型の発情周期を持続したのに対し、エストラジオール投与群では、38日齢前後からほとんどのラットが連続発情に移行した。オクチルフェノール投与群では、65日齢前後まで不規則な発情周期を続けた後14例中10例のラットが連続発情に移行した。(2)視床下部の性分化に及ぼす影響:幼若時のオクチルフェノール投与が視床下部の性中枢にどのような変化を及ぼすかについて、成熟後のLHの分泌パターンを調べた結果、対照群では、発情前期に明らかなLHサージが認められたのに対し、オクチルフェノールあるいはエストラジオール投与群では、このようなLHサージは、認められなかった。(3)交尾行動:正常な成熟雄ラットを用いて交尾行動を観察した。その結果、対照群に比べてオクチルフェノール投与群とエストラジオール投与群では、雌に特徴的な交尾行動が有意に減少した。(4)視床下部性的二核:オクチルフェノール投与群では、性的二核のサイズが対照群に比べて有意に大きいことが判明した。(5)結論 以上の結果から、オクチルフェノールは、エストラジオールに比較すると生物活性は、弱いが胎子期あるいは新生子期に大量に作用すると明らかなエストロジェン作用を示し、雌の生殖機能に不可逆的な変化を誘起することが判明した。
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