配分額 *注記 |
31,400千円 (直接経費: 31,400千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2002年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
2001年度: 16,700千円 (直接経費: 16,700千円)
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研究概要 |
外因性内分泌攪乱物質による生体影響評価に際しては、摂取後の体内での肝チトクロームP450(CYP)を始めとする異物代謝酵素による代謝変換に起因する化学構造の変化に伴うホルモン作用の変動(活性化や不活性化)を考慮する必要がある。しかしながら、現在までのところ報告者らのグループを除けば内分泌攪乱物質並びにその予備軍における内分泌攪乱作用の変動因子としての異物代謝に着目した系統的研究は余り見られない。そこで今回、異物代謝学的観点から内分泌攪乱物質及びその前駆物質による生体影響評価に資することを目指して、従来の成果を更に発展させるべく以下の諸課題について検討した。 1.BPAの活性代謝物MBPの生成機構の解明及び胎仔肝レベルにおける生成の可能性の検討 活性代謝物MBPはラットのみならずマウス、サル、ヒトの肝S9によっても生成された。またその生成は肝ミクロソーム中のCYPとサイトソールの50-70%硫安分画画分中の未知因子が関与するBPAのC-phenyl結合のラジカル解裂を伴うP-Isopropenylphenolラジカルの2量体化という異物代謝学的にも極めて興味深い特徴を示すことが示唆された。一方、胎仔肝レベルにおける生成の可能性については^3H-BPAを投与したカニクイサルの胎仔肝の提供を受け目下鋭意検討中である。 2.アルキルフェノール類の代謝変換とエストロゲン活性の変動 工業用Nonylphenolやtert-Octylphenolのエストロゲン活性はラット肝S9による代謝変換により、それらのエストロゲン活性は減弱されることが明らかとなった。 3.紫外線吸収剤ベンゾフェノン類の内分泌攪乱活性の構造活性相関並びに代謝変換が及ぼす影響 2,4,4'-Trihydroxybenzophenone,2,2',4,4'-Tetrahydroxybenzophenone,2,3',4,4'-Tetrahydroxybenzophenoneなど4位に水酸基を有するものに特に強いエストロゲン活性並びに抗アンドロゲン活性が認められた。また、弱いエストロゲン活性しか示さない2-Hydroxy-4-methoxybenzophenone(Benzo-phenone-3)はラット肝ミクロソームのCYPにより0-脱メチル化され2,4-Dihydroxybenzophenoneへと代謝変換を受けることによりエストロゲン活性の増強が認められた。
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