研究概要 |
我々は高等動物器官形成に特徴的な外性器発達プロセスの分子メカニズム解析を行い、1;外性器発達における各種細胞増殖因子解析のため試験管内培養系を世界で初めて確立し2;遺伝子ノックアウトマウスにおける外性器形成過程の解析3;樹立した外性器培養系を用いてレチノイン酸や各種催奇形因子の作用などを調べる試みを行った。 これらの結果は分子発生学関連で2報発表した。(Haraguchi et al.,Development 127,2471-2479(2000);Haraguchi et al.,Development 128,4241-4250(2001))。 これまで主として毒性学的検定手法において外性器の長さの測定や外性器-肛門間の距離測定といったパラメーターが、種々の化学物質の泌尿生殖系に対する催奇形性パラメーターとして用いられていた。今後、我々の基礎的ではあるが遺伝子発現カスケードに関す知見を基盤とし、催奇形性因子作用メカニズムに立脚した毒性検定システムを検討する事が今回の成果を受けて有意義と考えられた。 今回、外性器形成において、その攪乱作用が注目されているDESや他の催奇形因子メチルコラントレンなどの毒性発現メカニズムなどについても、重要な細胞増殖因子の一つであるBMP(bone morphogenic protein)遺伝子発現変化が誘導される等を見い出し、我々の分子発生学的知見が今後環境科学、毒性学に寄与する可能性が示唆された。
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