研究概要 |
1 研究目的 内因性及び外因性のAh受容体リガンドを探索し、これらの部分的構造修飾によりすぐれたAh受容体阻害剤候補物質の開発を目的とした。 2 研究計画 我々が以前の研究においてAh受容体リガンド活性の構造活性相関より明らかにした1)Ah受容体への結合能を増強させる構造修飾と、2)Ah受容体を介したレポーター遺伝子転写活性抑制を可能とする構造修飾の両者を駆使することにより、内因性由来及び外因性由来のAh受容体阻害剤候補物質となる鍵化合物の選定を行った。さらに、それらの化合物のAh受容体阻害剤としての効果をin vitro及びin vivoにおいて検討した。 3 研究成果 我々は京都大学大学院工学研究科環境デザイン工学講座の松田知成博士との共同研究により、ヒト尿の酸処理試料からAh受容体の新規内因性リガンドであるインディルビンを単離構造決定した。(Matsuda et al.,J.Biol.Chem.,276,31475,2001)更に興味ある知見として、このインディルビンがマウスに対しCYPlAl誘導活性を示さず、逆に、ベンズピレンによるマウスCYPlAl誘導に対し抑制効果があることを明らかにした。一方、外因性Ah受容体リガンド探索において前述の2)の構造修飾について詳細に検討を行った結果、ある種のアミド化合物が、インディルビンと同様にマウスCYPlAl誘導に対し阻害活性を有している、という極めて興味ある新知見を得た。検討を行ったアミド化合物の中ではベンゾイルアミノキノリン類(BzAQs)が最も強いAh受容体阻害活性を有しており、実際にマウス染色体異常誘発性試験(小核試験)において、ベンズピレン(100mg/kg単回腹腔内投与)による小核誘発が3BzAQ(5mg/kg×2回腹腔内投与)により有意に抑制されることを明らかにした。
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