研究課題/領域番号 |
13027283
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60230463)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 内分泌撹乱物質 / ダイオキシン / TCP / 腸肝循環 / 膵癌 |
研究概要 |
日本人の各種臓器における内分泌かく乱物質の暴露状況を把握し、特定の疾患や病態と蓄積の相関関係を得るための基礎データとすることを目的とし、インフォームドコンセントのもとに、剖検症例の主要臓器、血液、胆汁を採取し、内分泌かく乱物質(PCB、ダイオキシン類、有機塩素系化合物)を測定した。同一症例における血液、肝、胆汁における内分泌かく乱物質の濃度を測定したところ、胆汁中の濃度は、脂肪組織、血液および肝臓の濃度と強い相関関係を示し、脂肪組織、血液、肝臓と胆汁との間で内分泌かく乱物質が平衡状態にあり、その一部は胆汁経由で排泄されていることが示唆された。またPCB、ダイオキシン類や他の有機塩素系化合物では、加齢による蓄積傾向が明らかであったが、性差は認められなかった。また健常被験者の同意を得て同一の食事(陰膳)摂取後の、糞便、皮脂、血液中ダイオキシン類量を測定して、その摂取量および排泄量を検討した。その結果、摂取したダイオキシン類の約80%が体内に吸収されており、糞便へ排泄されたダイオキシン類Total-TEQは18.3±5.9pgTEQ/dayであった。皮脂への排泄総量はTotal-TEQ 23.8±5.6pgTEQ/dayであった。同族体でみると、胆汁経由の排泄に比し、低塩素の排泄は皮脂の方が多かった。排泄経路が同族体によって異なることは、体内蓄積ダイオキシン類の排出を考える際に重要と考えられる。一方、人工栄養のみで栄養されていた脳性小児麻痺症例では、ダイオキシン類濃度が低かったが、一定量検出されたこと、膵癌症例で平均値の10倍以上のダイオキシン蓄積が見出された。今後、このような高濃度の蓄積が見られた症例について、臨床化学、血液データや剖検診断との関連を詳細に検討していく予定である。
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