配分額 *注記 |
17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2003年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2002年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2001年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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研究概要 |
自然界には顕著な生物活性を示す多様な環状化合物群が見出されている。これらの天然物は構造的に二つのグループに分けられる。一つは多くの環が互いに縮環連結した多環状化合物であり,もう一つはポリプロピオネートやアミノ酸由来の鎖状分子が大環状構造を形成した化合物群で,これらの天然物の効率的化学合成は天然物化学の重要な研究課題となっている。本研究は,縮環系多環状化合物として高歪み天然物として著名なインゲノールならびに7環性海産天然物で骨粗鬆症治療薬として非常に期待されているノルゾアンタミンを標的分子に選ぶと共に,後者の天然物として強力な抗癌活性を示す海産天然物サイトファイシンC及びミサキノライドAを標的化合物に選びそれらの全合成を目指した。 その結果,以下の研究成果が得られた。 (1)インゲノールの全合成:トウダイグサ科の植物から単離されたジテルペンで高度に歪んだ立体構造を有し,発癌プロモータ活性や抗白血病活性など特異な生理活性を示すインゲノールの全合成および不斉全合成を達成した。成果をアメリカ化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)に発表した。 (2)サイトファイシンCの立体選択的全合成:当研究室で開発した立体特異的鎖状有機分子構築法を基軸とし,非常に複雑な立体構造ならびに強力な抗癌活性を有する海産天然物サイトファイシンCの立体選択的全合成に成功した。 (3)ノルゾアンタミンの不斉全合成:分子内Diels-Alder反応および分子内アシル化反応をキーステップとする合成戦略を立案し,ノルゾアンタミンの最初の不斉全合成を達成した。
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