研究概要 |
本研究の目的は、ピリジン環とリン原子を合わせ持つハイブリッド型不斉リガンドとしてピリジン環2位に隣接した不斉炭素とある一定の距離を挟んでホスフイン部を有する新規不斉複素環分子を合成し、多元素間協調による新しい不斉空間の構築とその有用性をさぐることにある。 平成13年度の本研究において以下のような新しい成果を得ることが出来た。 (1)ピリジン環の隣接位に不斉中心を有する光学的に純粋な1-[2-(6-bromopyridinyl)]-ethanolを原料に用い、アリールホウ酸との鈴木反応を行い、6位にアリール置換基を有する1-(2-pyridinyl)ethanolを収率よく合成した。 (2)上記6位アリール置換1-(2-pyridinyl)ethanolを相当するメタンスルホネートに誘導し、3級アミン塩基の存在下にアセトニトリル中、光学活性2-(diphenyphosphinomethyl)pyrroli-dineの両光学異性体と置換反応を行った。その結果、反応は立体特異的に進行し、ピロリジンの2位にdiphenylphosphinomethyl基を有する新しい光学活性なピリジン配位子を合成出来た。これらは光学的に純粋なN, Pハイブリッド型ピリジン-ホスフインリガンドであり、次いでこれらリガンド固有の化学反応性および不斉導入能力を調べた。 (3)得られた光学活性キラルリガンドを不斉触媒として、1-acetoxy-1,3-diphenyl-2-propeneのパラジウム触媒による不斉アルキル化反応を行った。その結果、本配位子は最高86%eeの不斉導入能力を有することが分かった。
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