研究概要 |
今回の研究は、合成時間の増加に伴って二次元hexagonal相からcubic相へ「構造転移」するシリカメソ多孔体SBA-1について、その転移の様子を多数の合成時間で「凍結」した試料を通じて明らかにすることである。試料の合成は、界面活性剤にCTEABr、シリカ源にTEOSを用い、「構造転移」がゆっくり進行するようにHClを加え、反応時間を変えて取り出し実験試料とした。 粉末X線回折パターンから、合成時間の短い試料は平面群,p6mm,長い試料は空間群Pm3nであることが予測される。TEM像の観察から、その結論を確認し、さらに二次元hexagonal相の(10)面とcubic相の(211)面が、面間隔・方位ともに一致させながら構造相転移していることが判った。この実験結果は、二次元hexagonal相の等価なチャンネルが、(1)約65Å周期で配列した内径約40ÅのケージA,(2)約90Å周期の3回右螺旋状に配列した内径約33ÅのケージB,(3)約90Å周期の3回左螺旋状に配列した内径約33ÅのケージCの三種類のチャンネルに分かれて、最終的に細孔がA_3B型に配列したPm3nの構造を形成すると考えるとよく説明できる。
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