研究課題/領域番号 |
13031006
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 健二 静岡大学, 理学部, 助教授 (40225503)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 水素結合 / ベンゼン / 分子集合体 / アミド基 / 結晶 / ゼオライト / 多孔質 / らせん |
研究概要 |
第1級アミド基を有するヘキサキス(4-カルバモイルフェニル)ベンゼン1が、再結晶条件(ゲスト分子)に応じて、相互貫入しない3種類の3次元水素結合ネットワーク結晶を形成することを見出した。 1・12(DMSO):多孔質3次元水素結合ネットワーク:この水素結合ネットワークの特徴は、アミド基のanti-NHに基づくCatemer様式である。c-軸に沿ってホストの6つのアミド基がそれぞれ同番号同士で6種のカテマー型1次元水素結合ネットワーク鎖を形成することにより、結晶全体として多孔質3次元水素結合ネットワーク構造を形成していた。従って、この3次元水素結合ネットワークは、c-軸に沿った2種類のチャンネルとab-面に平行な1種類のチャンバーを有し、今回の結晶構造の中では最も多孔質であった(ホスト充填率34.7%、空隙容量0.946mL/g)。 1・(H_2O):ラセン型3次元水素結合ネットワーク:この水素結合ネットワークの特徴は、アミド基のDimer-Catemer様式である。左巻きM-ヘリカルカテマー水素結合鎖と右巻き逆平行P-ヘリカルカテマー水素結合鎖がヘリカルターン部位でCyclic Dimerを形成して集合し、ラセン型2次元水素結合ネットワーク鎖を形成し、さらにラセン型2次元水素結合ネットワーク鎖同士がCatemer様式により水素結合し、結晶全体として興味深いラセン型3次元水素結合ネットワーク鎖を形成していることがわかった。 1・6(nPrOH):多孔質3次元水素結合ネットワーク:この水素結合ネットワークの特徴はアミド基のsyn-NHに基づくCyclic Dimer様式である。まず、6つのアミド基のうち4つが、bc-面内でCyclic Dimerによって多孔質2次元水素結合ネットワークシートを形成している。一方、残り2つのアミド基は、前後の隣接水素結合ネットワークシートに属してb-軸に沿って1周期分スライドしたホストのアミド基とCyclic Dimerによってab-面内で水素結合し、1次元水素結合ネットワークテープを形成していた。よって、bc-面に平行な多孔質2次元水素結合ネットワークシート同士は、互いにスライドすることなくa-軸に沿って積層し、かつ、ab-面内での1次元水素結合ネットワークテープによってリンクし、結晶全体としては、a-軸に沿って三角柱様のチャンネルを有する多孔質3次元水素結合ネットワークを形成していた(ホスト充填率40.8%、空隙容量0.729mL/g)。 このようにして、アミドホスト1の3次元水素結合ネットワーク構造の多様性は、分子配向およびベンズアミド部位と母核ベンゼン部位の成す2面角の微妙な変化に加え、ゲスト分子とホストアミド基の酸素原子の水素結合アクセプター性(PrOH<RCONH_2<DMSO)、および、ホストのアミド水素の水素結合ドナー性(anti-NH <syn-NH)との相関に由来することがわかった。
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