研究課題/領域番号 |
13031027
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
堀 克敏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (50302956)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 疎水性物質 / トルエン分解 / Alcaligenes genospecies / TBAB / 強相関作用 / 疎水性相互作用 / 付着 / 揮発性有機化合物 |
研究概要 |
本研究では、筆者らが単離したトルエン分解菌A.genospecies Tol5と疎水性界面との強相関作用を解明するため、疎水性基質であるトルエンまたは親水性基質である乳酸のどちらかを炭素源として同菌を培養した。その結果、乳酸培養時には疎水性度が減少し、ポリウレタン担体への付着能力も失われることが明らかとなった。ところが、乳酸で培養しても担体を入れておくと、担体付着能力は失われず、疎水性も維持することがわかった。以上から、疎水性基質の取り込みメカニズムが、細胞表層の疎水性と疎水性担体への付着能力の両方に関係していることが示唆された。さらに、疎水性界面に付着した微生物細胞は、非イオン界面活性剤の添加により、固体表面から剥離させることはできなかったが、あらかじめ界面活性剤が存在すると、固体表面への付着が阻害されることが示された。そこで筆者らは、微生物細胞の付着機構として、まず微生物細胞は疎水性相互作用により固体表面に一次の弱い付着をし、続いて菌体外ポリマー(EPS)のような接着物質を分泌してより強い二次の付着を達成するという、二段階付着機構を提案した。実際、細胞表層がEPS様物質でコーティングされていることが電子顕微鏡により観察された。 一方、Tol5株のトルエン分解能力は、分離源である汚泥より約10倍高いことが、分解速度実験より明らかにした。そこで担体付着能を利用してポリウレタン担体にTol5株を固定化し、パイロットスケールのTBABを構築した。これを用いてトルエンの除去性能を調べたところ、運転開始24時間以内に十分な処理性能を示した。活性汚泥等を用いる通常のTBABでは、馴致期間に数週間を要することが通常であるので、強相関作用をもつ細菌を利用することで、馴致期間の大幅な短縮が可能であることを示した。
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